つかこうへいダブルス2003「飛龍伝」2003年12月05日 14:56

飛龍伝@青山劇場(夜)

イェ~~イ!!筧がカッケーーーーイ!!

何言ってんだ自分…。
と、思わずわけもわからず取り乱してしまうほど良くなってました、飛龍伝。
初日のアレはなんだったんでしょうか。なかったことにしたほうがいいんでしょうか。同じチケット代と思うとなんだか非常に切ない気持ちになってしまいます。だってもう出だしの演出から違ってるし、ツカコウヘイめ…。

前回と一番変わってたのはやはり一平で、一平→神林の
愛情が凄く伝わるようになっていたので、今回はほんっと泣けました。
また神林の感情がストレートでね、あの全身で体当たりしてくるような勢いを受け止める筧さんはそりゃ大変だし疲れるだろうなと思いましたよ。
でも今日は筧さんに余裕があった。ちゃんとがっつり受け止めてたから、神林が一平に安心して飛び込んでってました。
なので、今回を見て初めてあのラストシーンに納得ができました。

一平はあの11.26の国会議事堂で、美智子と一緒に死にたかったんだね。当たり前のことなんだけど、初日見たときはそう思えなかったんです。それはやっぱり筧さんの演技の問題だったんだろうなぁ。
美智子はね、あそこで好きな男に殺されて幸せだったと思う。でも殺して、残った方はそりゃたまらん。狂いもする。きっとそれから20年間ずっと罪の意識と、一緒に死ねなかった後悔とで苦しんで来たんだろう。心の中の美智子という幻を追い続けて。
で、「国会議事堂前に全員揃った全共闘40万」「桂木という友の姿」「美智子の面影を残した勝利」というシチュエーションが揃って、あの瞬間彼の心は30年前の11.26に戻ったんだろうなと。
彼を実際に殺したのは多分勝利で、それは実はすごく残酷な光景なんだけど、一平にとっては彼の時間が止まったあの11.26、自分が美智子に殺されるという幸せな夢の中で初めて止まった時間は動き出し、彼は幸せに死んで行ったんだと思う。やっと解放されたんだと。

正直、脚本的に今回は納得行かない点がいっぱいあったりするんだけど、それでも最後のタキシードの群舞で昇華できてしまった。これがつかこうへいの芝居なんだなーと改めて思った次第です。
でも最近の女が「やってらんねぇよ!」っていうのはむしろ「あのクソ上司!仕事できないなら消えろ!」とか、「部下がバカでさ」とか、そういうリーマン愚痴系の「やってらんねぇよ!」が多いと思うので、女が「やってらんねぇよ!」と言わないでいられる日本を作るためにはまず男性方に強さを取り戻してもらわんとダメだと思うですよ。
アルバイトとかでもちょっと怒られるとすぐ辞めるもんなー、男の子。女の子はそこで「なにくそ!」って頑張ってくれる子多いんだけど。
「女は男が守ってくれるから、その分優しくなれるんじゃない(byしのぶ@うる星やつら)」。全くもってその通りで、守ってくれる男が少ないから女は強くなるばかりなんですよね。
今回の神林は本当に普通の女の子だったのに、周りが守ってくれないから強くならざるを得ないというある意味現代日本を象徴するようなストーリーだったと思うのは私の考えすぎでしょうか。

そういえばカーテンコールが4~5回あったんですが、筧さんの「間もなく青山劇場は閉館時間になります!とっととお帰りください!」「文句がある人は楽屋へ来なさい!…全員犯します」「明日は昼公演があるんです!早く身体を休ませないといけません!声が出なかったらおまえらのせいだ~!」には笑いました~。筧さん、うかつなこと言うと本当に楽屋に押しかけるバカが出てくるぞ~(笑)

千秋楽は怒り出すまでカーテンコール要求しちゃる!首洗って待ってろカケイトシオ!

つかこうへいダブルス2003「飛龍伝」(千秋楽)2003年12月07日 14:57

飛龍伝@青山劇場

いや~…もうなんというか。
舞台であんなに泣いたのはJAPAN RENT2年目の千秋楽以来かもしれないです。筧さん、神掛かってました。舞台で泣いてる筧さんてのも初めて見た。(注:日が経つにつれて自信なくなってきた;でも目がかなりうるうる来てたのは確かなんだよなぁ。彼の場合涙なのか汗なのか区別付かないから、液体判断(笑)はしてないんですが(12/9追加))
5日の舞台も良かったのですが、今日はまたすごい。舞台から溢れてくるパワーに圧倒されました。
広末嬢はちょっと泣きすぎかなーとも思ったんですが、でもやっぱり「四国に帰る!お母さん助けて!」という悲鳴のような台詞は辛かったです。
彼女の演技は本当に全身で、渾身の力でやってるなーというのが伝わってくるので、切ないシーンは本当に切なく、愛情を見せるシーンは温かく、正直こんな風にやってくれるとは思わなかったので、とても驚きでした。
今回の神林をちゃんと演じていたと思います。

他のキャストさんたちも今日は本当に良かった。特に小川さん演じる泊書記長!5日にはなかった演出が付け加えられてて、これでまた号泣ですよ。
泊が出てきて、妹の死について桂木を責める。周囲の学生たちにそれを止められ、がっくりと膝を付いて号泣する泊。そんな彼に神林がそっと白いハンカチを渡す。
そしてラストシーンで「死にたくない!」と逃げる泊が、そのハンカチを握り締めて決意する。「委員長、このハンカチを頂いてよろしいですか?妹の涙を拭いてやりたいのです。妹は泣いてばかりおりましたから、きっとまだ、成仏していないと思うのです。ですが、心優しき委員長から頂いたこのハンカチで涙を拭ってやれば、きっと成仏できると思うのです」(うろ覚え)
そして早稲田の校歌と共に散る泊…あー、思い出しただけでも泣けてくる。
あとは最後に狂った一平が「母さん、赤い鼻緒の下駄を買ってやらなきゃなぁ…」ってかすれた声でつぶやくセリフですね。それまでずっと声を張る芝居だっただけに、抑えた声のその言葉がぐーっと胸に来て…。

ステージっていうのはやっぱり特別な空間なんですよね。でも、そこに演者がいるだけじゃダメなんです。あの何もない会場にセットが建てられて、客席にお客がいて、ステージに人が立って、それで初めて「特別」な空間になるんです。
カーテンコールで総立ちになった観客をぼんやりと見ていて、改めてそう思いました。
役者の気迫が観客を引っ張り、観客の熱意が役者の気迫を生み出す。いい舞台でした。

そうそう、カーテンコールでは筧さんが客席に下りて、お菓子を投げまわってました。当然ゲットです。筧さん系の舞台でその手の物を取り逃したことがない記録、更新です(笑)
今回は筧さんだけ「WHITE BREATH」で出てきたり、なんかもう「何でもアリ」って感じでした。幕末に出演していたこぐれさんと山本さんが花束を持って来たり、「このあとTOKYO FMの生放送があります!袖でマネージャーは慌てております!間に合わなかったらお前らのせいだー!」とか。「楽屋に来てください。全員もれなく犯します」もあったし(笑)
でもラストのラスト、広末しか出てこないなーと思ったら「筧さんは本当にラジオにいっちゃいました」……って、どーゆーことだカケイトシオ!!(笑)
・・・ご苦労様でございます。

はー、大阪見に行きたい衝動をどう堪えるかが今週の課題のようです。