東宝ミュージカル「ミス・サイゴン」(プレビュー公演)2004年08月13日 13:29

@帝国劇場

CAST:
エンジニア 筧利夫
キム    新妻聖子
クリス   石井一孝
ジョン   今井清隆
エレン   高橋由美子
トゥイ   tekkan
ジジ    杵鞭麻衣

というわけで、いよいよ開幕したサイゴン。ほんっと前日からドキドキして帝劇に行ってまいりました。

場内に入るとサイゴングッズが色々販売中。パンフ・ジョッキ・携帯ストラップ・ミニ三面鏡・携帯用ガードシール・Tシャツ…くらいかな?ガードシールは今ちょうどないのでちょっと欲しいかも。パンフは初版(舞台写真なし)で1500円。舞台写真入りは9月発売だそうです。

客席に入ると墨絵のような緞帳。よく見ると戦火で焼かれたサイゴンの光景。このミュージカルの背景にある時代とその重さを改めて感じながらそれを見つめていると、聞えてくるヘリの音。そして序曲。
事前にCDで2回くらい(あんまり回数聞くとその印象が残ってしまうので)通して予習をしていたんだけど、序曲のキラキラとした始まりがとてもインパクトがあって好きだったんですが、あれはサイゴンの朝をイメージしていたんですね。緞帳に映る朝日、行き交う市民たち、そして兵士の出現で逃げまどう彼ら。
そこにいきなり「みなさ~ん!新人が入りました~」と聞きなれた声。そうそう、エンジニアはほんっとに初っぱなからの出演なんですよね。

筧さんの歌は想像以上に良くてびっくり!さすがにストレートプレイで鍛えてるだけあって声量はあるし、高音も奇麗に出てる。ビブラートのかけかたも「覚えたて」という感じはしなかった。正直、もっと絶望的なものを想像していたので(苦笑)これは予想外!と期待。
しかし、落とし穴は思わぬところに。「♪オレの腕前見てろよ」の辺りで音程がビミョ~になって、「これは…もしかして…」と思ったのですが、その後の歌で確信。筧さん、高音は出るけど低音がまるで駄目です……。テンポが落ちれば「♪まるで花嫁だ」はギリギリ出るけど、その後の「♪生娘は高い」のキーになると全然ダメ。低音は音程外れっぱなしです。
とにかく同じ音程でダダダダっと歌ってしまえば多少ごまかしはきくので高音部がひっくり返ったときみたいな「ずっこけ」はないんですが、これは正直厳しい。エンジニアは結構このキーが多いので、期待→一気にハラハラドキドキへ。以後筧さんが出てくる度に「初ミュージカル」を見守るファン心理も伴って手に汗を握ることに。この感覚はエリザ初演で内野トートを見たときに似ている(笑・でも正直あの段階のうっちーよりは歌えて(以下検閲削除))

そして「ウェルカムトゥ~ドリームランドっ!」の声で「火がついたサイゴン」。
今井さんのジョンが歌い始めた瞬間に「あ、バルジャン残ってる?」(笑)だって…なんとなく体形や歌い方が…。でも見た目はものすごくアメリカ人(というか欧米人)に見える。
しかし筧エンジニア、高音部分の声は目立つなー。大勢の声の中でも聞き分けてしまったのは私が筧ヲタだからかしら。
石井さんは完全に初見。写真で見てV6の坂本くんに似てるなーと思ってたんですが、生で見ても似てました。心なしか声も似てる気がする。坂本くんの声が好きな私は彼の声もとても気に入りました。石井クリス、期待です。
そして新妻キム。筧さんとは逆に低音部分でとても迫力のある声ですね。高音もしっかりと地声で歌えてて、こんなに上手い人だと思ってなかったのでびっくりしました。
しかし他のエンジニアやキャストに比べてかなり小さめの筧さん。ストレートプレイと同じように絶対に普通に歩いてない。ステップを踏むようにちょこちょこと小さいのが動き回ってて、アンサンブルに埋もれててもあの大きな顔が目立つ目立つ。(褒めてます)

一曲づつ感想書いてるときりがないのでそれはまた今後のレポの中で触れるとして、一幕で印象的だったのは、まず「この金は君のもの」でのキムの「♪身の上話聞きたいの~」のくだりかな。新妻さんの激しい歌い方にとても迫力があって、後でパンフを読んだら「キムの重要な要素」に「激しさ」を挙げていたのでとても納得。全体を通して彼女のキムは怒りや悲しみといった激しい感情がとても印象的で良く伝わってきた。逆にクリスとの二人のシーンでの喜びやなんかは伝わりにくかった気がする。

サイゴン陥落後はストーリーも一気に進む。出世したトゥイからキムの捜索を言いつけられるエンジニア。調子の良さと計算高さを使い分けて巧みに立ち回るエンジニア、どこまで行っても直球にしか生きられないキム、ベトナムでの経験と帰国後の周囲からの蔑みでPTSDに苦しむクリス、それを見守るエレン。
そう「I still believe」での高橋エレンの歌声は良かったなぁ。包み込むような雰囲気があって、CDで聞いたときはクリスはキムを忘れてエレンに逃げたように感じたんだけど、彼女の歌を聞いていると何故クリスがエレンを選んだのかが納得できてしまった。クリス・エレンとキムが上下に同時に存在してるあの演出が切なさを増幅してる。
「生き延びたけりゃ」辺りは筧さんの本領発揮。隠してた財産(?)を掘り出してる姿の辺りはものすごく「らしい」なと。「おじちゃんにキスを」でほっぺにチュッってしたタムが直後に口を袖口でごしごし拭いてる姿に客席大爆笑でした。
そして「命をあげよう」。この曲は新妻さんの迫力のある低音にものすごくハマっていて、彼女のキムの曲の中で一番良かったと思う。

二幕。
今井さんの「ブイ・ドイ」は良かったんだけど、CDでこの曲を最初に聞いたときほどの衝撃はなかった。レミコンの時よりも声が出てなかった?それとも帝劇の音響が悪いせいかなぁ。すんごい期待しすぎちゃったのだろうか。むむ。
二幕はストーリーを追うのに精一杯な部分があって、実はあんまり細かく覚えてなかったりします。でもとにかく圧巻だったのはホテルでの「告白」。ここの石井クリスの歌声は、歌というより彼の心の悲鳴・叫びのようで泣けて泣けて仕方なかった。一幕の「I still blieve」とこの「告白」でエレンとクリスの3年間が垣間見えてしまって、この後のキムの悲劇も「酷い男だクリス!」とは思えなくなってしまったり。CDで聞いたときには「クリスひでー」と思ったんですが、やっぱり舞台は生で見ないとダメなんですね。とにかくここの石井さんは素晴らしいの一言に尽きます。石井さんにかなりハマったかもしれない。

そして「アメリカン・ドリーム」。これは良かった。この曲を納得できるように歌ってくれた筧さんには拍手。キャデラックに乗るシーンは他のキャストで見た写真だとカッコつけて座ってるんだけど、筧さんは小ささを活かして(笑)べったりとボンネットに大の字で貼り付いてました。エンジニア最大の見せ場だったのでこれまたハラハラして見てたらしく、終わった瞬間同行のW嬢と同時に「はぁ…(安堵)」とため息をついてて苦笑です。そういや出てきた筧さんを見た瞬間に私吹きだしたらしいんですが、全然記憶にございません。ございませんったらWさん!

ラストシーンは知っていたとはいえ、やっぱり苦い気持ちになりますね。でもこの苦い気持ちを観客の心に残すため、忘れさせないためにこのミュージカルはあるんじゃないかと思う。
このシーンで印象に残ったのは銃声を聞いて室内に入ったエンジニアが、状況を見た瞬間にタムを抱き上げて背中を向けるところ。それまでずっとヘラヘラしてたエンジニアの表情の変化と、何が起こったのか理解してないタムがエンジニアに抱かれながらうにゃうにゃと手を動かしてるのがものすごくリアルで悲しくて、その横のキムとクリスが余計に切なく見えた。

わざわざ彼が来たことをわかって自殺した理由の中には「彼の腕で死ぬことによって、永遠に彼の記憶に残りたい」っていう部分もちょっとあったんじゃないかと思う。(パンフの座談会でもそんな話しが出てましたね)恐らくこれによってクリスはもう一つ重い十字架を背負うことになってしまうんだろうけど、やっぱり自分のしたことの結果だから仕方がないとしか言いようがないんだろうな、これは。

さて、通しで見た感想は「普段見る芝居の3倍疲れた…」。ストーリーが重いからとか結末が切ないからではなく、単純に<b>「子どもの初舞台を見守る親の気持ち」</b>だったからです。(失礼ですみません…)終わった瞬間全身から力が抜けて、自分がもんの凄く緊張して見てたのに気づきました(笑)
緊張してたのは筧さんも同じだったみたいで、とりあえず初日が終わったカーテンコールの表情が、他の芝居の千秋楽のような安堵感に満ちた笑顔で思わず笑っちゃいました。最初の2回くらいは座長らしくちゃんとステージを仕切っていたのですが、それ以降ははしゃぎっぱなしです。おーい、安心するのにはまだまだ早いぞ~(笑)
プレビューのせいか、まずはエンジニアをお手本通り演じてた感じがしました。筧さんのヘラヘラした表情が一転して鋭くなるとか、あの独特のメリハリ感はまだ薄かった気がします。これから慣れるに従ってどんどん濃ゆいエンジニアになっていくと思うので益々期待。一回スイッチ入っちゃうとある日突然大変身するからな、筧さん…。(飛龍伝のレポ参照。あちこちのレポから推測するに開幕4日目位でスイッチが入ったらしい)その瞬間を見逃すととても悔しいので、金とヒマが許すなら全公演見たいくらいです(オタのたわ言なので軽く流して下さい)
歌に関してはまあ、ゼロからレッスン始めたであろうことを考えれば頑張ったなとは思います。でもそんなことはお客さんには関係ないわけで。歌えてあたりまえですから、はい。ただねー、高音てレッスンすれば出るようになるけど、低音は生まれ持ったキーが激しく影響するから難しいかもしれないなぁ。男性であのキーが出ないってのは結構致命的かもしれない。筧さんのことだから根性でなんとかしちゃうかもしれないけど。「ああ、音程外しっぱなしだな」と気づかせない誤魔化し方を開発するか、歌のマイナスを差し引いてもブラボーと思える何かを見せつけてほしいです。(そんでいつかがんばってルキーニとジャベールをやってほしい。ちびっこだけど鋭い猟犬ジャベ。似合うと思うんですが)
どーでもいいけど筧さんの歌声って若いころの市村さんに似てません?CDのエンジニアにすごく近いなぁと思ったんですが。影響されてるのかな?

とりあえず初回に限っては筧さん中心に見てしまったので、ストーリー全体に関しては次回以降にじっくりと見たいと思います…。2度目はきっともう少し落ち着いて見られるでしょう。(多分)

東宝ミュージカル「エリザベート」2004年08月18日 13:30

@中日劇場(マチネ)

CAST(Wキャストのみ)
トート   :内野聖陽
フランツ  :石川禅
ルドルフ  :パク・トンハ
エルマー  :今拓哉
チビルド  :塩野魁土

会社サボって行ってまいりました。しかも車で日帰りという強行日程。「初めから車で行くことが決まってればマチソワできる日にしたのに~」とか帰りにつぶやいてたのはナイショです。
朝6時に出発して、名古屋到着が12時くらいだったでしょうか。もうちょっと早く着くかと思ったんですが、都内脱出に思ったより時間がかかったのと、途中にSAでのんびりしすぎました。旅行気分で楽しかったですけどね。
平日昼だったせいか会場の駐車場も空いていたので一安心。

中日劇場は思ったよりも小さく、14列のほんっとド真ん中だったんですが、帝劇でいうと1桁列くらいの近さがありました。それでセンター通路のすぐ後ろだったので、視界をさえぎる物がなにもなく、まるで私たちのためにやってくれてる!…くらいのベストポジション。それだけでも行ってよかった。

噂には聞いてましたけど、間口奥行きが狭いせいか、細かい演出変更がけっこうありましたね。
結婚式の舞踏会シーンなんかは、貴婦人の皆さん並びきれないんじゃないかと思ってちょっとドキドキしました。

さて、3ヶ月ぶりのエリザ。「我ら息絶えし者ども~エリザベート大合唱」が大好きな私は、頭の♪せか~いはっ 終わった♪からもうドキドキです。最近宝塚花組エリザのDVDをヘビーローテーションだったので、こういう群集シーンはやっぱり男声が入った東宝版が迫力あっていいですね。「ミルク」「ハッシュ」やカフェのシーン、大好きです。
そんでシシィがライフル持って仮花道の一番前まで出てくると、改めて「近い…」とびっくり。
ラストシーンが大きく変わってましたが、あれも奥行きの狭さから来る変更なんじゃないかなぁ。でもキスのタイミングが変更になって、個人的にはその方がストーリーの軸が一本になったので納得なのですが。
残念だったのがカーテンコール。奥行きが狭くなって歩く時間が少なくなったせいか、BGMのアレンジが結構強引なカットになっちゃいましたね。最後の皇后様の部分も溜めがなくなっちゃってちょっとありがたみがなかった。

さて、キャスト別。
一路さんは相変わらず可愛らしく美しく、シングルキャストで連続公演の疲れも見せず、絶好調。側転もばっちり決めてらっしゃいました(笑)

内野閣下。帝劇よりも声が柔らかく・響くようになった感じです。「硬質な美声」って印象があったのでびっくりしました。高い音になるとまだ多少硬くなるんですが、低音部の安定感が抜群になりましたね。人間て4年でここまで成長できるんだなぁと感慨深くなりました。初演で歌い始める度に無意識に手を握り締めて緊張してたのが嘘のようです。
演技に関しては言うことありません。背中を向ける直前に口元にだけ「ニヤリ」と笑みを浮かべたり、暗闇の中でも演技してたり、細かすぎて追うのが大変でした(笑)
カーテンコールのニコニコ顔を見てると「役者ってすごいな」としみじみ思います。でもそのお姿で♪ばばんば ばん ばん ばん♪ はいかがなものかと。←カーテンコール

高嶋ルキ。ヅカエリザで一番物足りなかったのがルキーニなんですよ。あの濃ゆさ、なんだか安心しました。今回は名古屋限定なのか♪強く~ 厳しく~ 育てられて…育てられ、とる? と言ってたのがおかしかった。名古屋弁なんですかね。

禅フランツ。レミコンのマリウスにかなり惚れてしまったのでその面影は…と探してみたのですが、禅さんすごい。青年時代のフランツ見てても確かに「若い」演技をしてるのにマリウスとは別人。帝劇で見たときは禅フランツっておっとりしたイメージだったんですが、ルドルフに「追って沙汰する」と言い捨てた時の目と表情の冷たさ・恐ろしさにはゾッとしました。それから「悪夢」のシーン。トート閣下に食って掛かるあの激しさ、髪を振り乱して必死でエリザベートを取り戻そうとする姿は意外でした。あれは綜馬陛下にはないフランツ像だな~。ここにもWキャストの妙が。エリザに関しては、ほんっと上手いキャスティングをしてると思う。

パクルド。♪ママと~ぼく~は似ている~ から既にちょっと高音部がキツそうでしたね。喉の調子が悪いのかな。日本語の発音は今回問題なし!高音はきついけど歌自体はとてもよかった。内野閣下との相性は浦井くんのが合うと思ってたけど、今日は良かったな~。うっちーの声が柔らかくなったせいかしら。ルドルフの世界を包み込むように支配するトートって感じではまってたと思う。マイヤーリンクは銃を上手く受け渡しができなかったみたいで心なしかキスシーンが長く、それが逆に「死を受け入れまいと必死で抗うルドルフ」って感じで良かった。パクルドの自殺シーンはいつも悲しい気持ちになるな。あのガクガク震える指で引き金を引くのと、撃った瞬間に身体が痙攣するのがリアルなんですよね。

チビルド塩野くん。この子の♪ママー ど~こに~ には、いつもドキっとさせられます。帝劇よりも語尾を丁寧に、やわらかめに歌ってる印象を受けたんですが、どうでしょうか。カーテンコールの4回目くらいの時にセンターに押し出されてモジモジと皇后様のドレスの裾にそっと隠れて手を振ってる姿が可愛かった。なんとなく舞台での堂々とした演技とその姿のギャップがうっちーっぽくて、皇后&フランツの息子ではなく、皇后&トートの息子みたいでした(笑)トートってルドルフ(大)には冷たいけど、チビルド見る目は意外に優しいよね。

とにかく久々のエリザに満足。強行軍でも行った甲斐がありました。ほんっと楽しかった~♪
運転してくれた二人に感謝です。天むす美味かったね!
次回は大阪。希望日のチケットが取れることをとりあえず祈ります…。

宝塚雪組「あの日見た夢に~シカゴ・アンダーワールド・ブルース」2004年08月22日 15:17

@日本青年館(マチネ)

宝塚初体験です!なんか未知の世界へ踏み込む感じでドキドキしながら行ってきました。同行は今月頭に「ファントム」で先に宝塚デビューしたF嬢。

禁酒法時代のシカゴの裏社会の話としか認識せずに行ったのですが、なんというかベッタベタなメロドラマでした。そういうの結構好きです(笑)

主演のマイケル役・朝海ひかるさんは写真で見るより好きな顔かも。綺麗なお顔をしてるなぁと思いました。でも周りの男役の方が大きかったので、なんというか…ちびっこギャング?(失礼)中居好きな私は個人的にそれもツボだったんですけどね(笑)

マイケルの幼馴染で、医者のスティーブ役・壮一帆さん。かっこいいですね~。白衣着て出てきた瞬間「石川先生(@振り返れば奴がいる)だ!」と思ってしまったり。あの真面目そうな雰囲気が石川先生を彷彿させたんでしょうか。朝海さんよりも台詞や歌が聞きやすかったです。

マイケルの弟分・シービー役の貴船尚さんはお笑い担当?客席の笑いを一手に浚ってました。彼に思いを寄せるショーガールの子に告白するシーンは私も思わず笑ってしまいました。

で、一番ツボだったのはマイケルの妹分・スージー役の天勢いづるさん。綺麗なのに少年ぽさも残してる不思議な魅力な方だな~と思ってたら、この公演から娘役になった元男役の方だったんですね。なるほど。でもその性転換途中のアンバランスさがこの役にはぴったりきてました。マイケル死ぬシーンなんて相手役のエリーよりもスージーとのやりとりのがぐっと来ましたよ。

正直ストーリー的にはかなりアレだったんですが(途中2回くらい落ちかけたし)初宝塚ということで楽しませていただきました。
でもマイケルとスティーブがエリーを押し付けあう(違)シーンはもうちょっとなんとかなんなかったのだろうか。特にスティーブの台詞がなんか唐突で「こいつはいきなり何を言い出すんだ!?」と目が点になっちゃいましたよ。
マイケルも夢見すぎな感じで回想シーンが多くて、なんとなく「あの日の僕をさがして」を思い出しました。
少年時代のマイケル&スティーブのシーンが一番良かったかなぁ。
あ、あと主題歌は好きです。良かった。

最後に朝海さんが羽根つけて降りてくるのかなぁとドキドキしてたら、それは流石になしなんですね;あれは両宝塚劇場限定なのか。来週末の「ファントム」までのお預けですね。
カーテンコールでは朝海さんが客席からの登場で、白いスーツ姿の朝海さんを近くの席の方々が目をキラキラさせて見ているのが印象的でした。

どーでもいいですが、今回アメリカ裏社会が舞台だったせいでみんな帽子被ってたんですけど、おかげで固体識別がまったくできず…。(衣裳もおそろいだったし)シルエットのみで区別が付くようになるにはまだまだ修行が必要なようです。

終演後。以前いた会社が外苑前だったので、久々に当時良く行っていたお店にランチに行こうと思ってたら日曜定休。悔しいので渋谷にある系列店まで行ってごはん食べました(笑)

八月納涼歌舞伎(三部)2004年08月25日 15:29

@歌舞伎座

仕掛けが多いので楽しみだった「四谷怪談」です。
勘九郎のお岩ってのがピンと来なかったんでどうかなぁと思ってたんですが、伊藤家に向かおうと病の身体を押して身なりを整えようとする辺りは哀れで良かった。ストーリー的に「ここは…コミカルにやってるけど笑っていいのかなぁ」と思うところが何ヶ所かあって、ちょっと迷いました。笑えない物語で笑わせるところが皮肉でいいってことなのかしら。

勘九郎はお岩・ 佐藤与茂七・それからお岩と一緒に殺されちゃう人の3役をやってたんですが、歌舞伎の早替えってあの短時間でメイクまで替えててすごい。どうやってるんだろう…。

なんか途中で客席にお化け(?)を仕込んでたようで、一階席が阿鼻叫喚に(笑)三階からだと何が起こってるかはわからないんですが、結構本気の悲鳴が聞こえてきて凄かったです。

お袖&お花の福助さん。こんなに台詞聞き取れない人だったかなぁと。序幕の登場シーンはほとんど何言ってるかわからなかった。

伊右衛門橋之助&権兵衛三津五郎の悪役コンビは良かったと思います。個人的には権兵衛の三津五郎さんの方がより下世話な小物感が漂ってて好きです。

七之助は登場時の台詞でずっこけてしまいました。いや、美しいし姿はすごく綺麗だったんですけどね。顔ちっちゃいし。あの勘九郎の息子なのに…DNAの神秘。なんとなく宙組の花影アリスのセリフを思い出しました。わかりませんね、すみません。

仕掛けは色々あって面白かったけど、提灯抜けは勘九郎さんの体型もあってか「火の輪くぐり!」と、なんとなくサーカス曲芸を連想。髪梳きはわかっててもギョっとした。髪の毛ってのはそれだけでなぜかおぞましさを感じますね。あと仏壇返しを見れたのがなぜかとてもとても嬉しかった。

舞台番の染ちゃんがなんだか非常に生き生きとしてて、「歌舞伎好きなんだね。歌舞伎に戻ってよかったね」と思いました。アオドクロ終われば2ヶ月連続でまた歌舞伎なのでがんばってください。

どーでもいいんですが見てる最中に後ろのハトバス乗客のフランス人が延々でかい声でしゃべってて参った。台詞の節を真似して一緒に言ってみたり。君の国では観劇する時わかんねーことを大声で質問するのはマナー違反ではないのかと。注意するにはちょっと遠かったんだよな。てゆーか添乗員何とかしてくださいよ…。

東宝ミュージカル「ミス・サイゴン」2004年08月27日 13:30

@帝国劇場(ソワレ)

CAST:
エンジニア 筧利夫
キム    松たか子
クリス   石井一孝
ジョン   坂元健児
エレン   ANZA
トゥイ   tekkan
ジジ    杵鞭麻衣

というわけで二度目のサイゴン。8月で楽を迎えてしまう坂健ジョン目当てで取った公演でしたが、今回出色だったのは松さんでした。

とりあえず場面順に印象に残った部分の感想を。
まずエンジニアの店。筧さん、そろそろ慣れてきたかしら…とドキドキしてたら、あらびっくり。思いのほか低音がんばってるじゃないですか。前回みたいに眉間にシワ寄せつつ、段々身体が斜めになっちゃうようなことはありませんでした。おかげで今回は非常に物語りに集中できます。
やってくるジョン&クリス。坂健ちっちゃーい!筧さんとそう変わらないじゃん!でも歌声はパワフル。硬質な声が役に合ってていいんじゃないでしょうか。
で、キムが「♪17歳で初めて~」と歌いだしたところで「それは嘘だろう」と…(苦笑)いや、松さん見た目が落ち着いてますから。でも他のお姉さんと一緒にぎこちないダンスを踊るところはコミカルでよかった。

一気にサイゴン陥落に飛びまして「Morning of Dragon」。二階から見るこのシーンは圧巻!ホーチミン像もでかく見えるし、Dragon Dancerの踊りも上から見たほうが全然迫力ある。そこに疎開してきた中学生…もとい、再教育を受けたエンジニア登場。「♪でも オレはオレ~」って相変わらずなエンジニア。トゥイに捜索を命じられてキムを探しに。
tekkanさんのトゥイは、前回見たときちょっと苦手な感じだったのですが、ダメだった部分のカクカクした歌い方がちょっとソフトになってていい感じに。独裁政権に酔う若者…というか、国の示した狂気に陥りながら、キムという獲物にもその狂気をぶつける激情とでもいいましょうか、そういった印象を強く受けました。キムが好きで手に入れたいんじゃなくて、約束を守らなかった=自分の物にならなかったキムへの執着が強い感じ。

「I still believe」。この曲はサイゴンナンバーでも1・2を争って好きな曲なんですが、ここではANZAが頑張ってました。前回見た高橋エレンはもうちょっと「お姉さん」な雰囲気だったんですけど、ANZAからは必死でクリスを理解しよう、包み込もうとしている健気さが感じられました。クリスはエレンと一緒に必死で過去を乗り越えようと頑張ってるんだねと。下でこちらも健気に「♪でも~ 信じてる~」と歌ってるキムと合わせて涙です。

そしてトゥイの死。このシーンの松キムはホントに凄かった。撃ってからトゥイを抱きかかえるまでの空白、そして現実を理解した時の絶叫。2階で表情なんか見えやしないのに、叫んだ瞬間のキムの表情がありありと見えるようでした。

キムとエンジニアが再び出会うシーン。ここの「♪夢~ 手に入れるぞ~」の筧さんは良い。同行のF嬢が普通苦労しそうな高音キーの見事な出しっぷりに感嘆してました。(その分低音が…)

「命をあげよう」。この曲は松キムにとても合っていたと思う。前で無邪気にお絵かきする息子を見つめながら「この子の為になんでもしよう。私の全てを、命をあげよう」という決意がひしひしと伝わってきました。
重々しいコーラスが重なり夕陽が落ちはじめる。戻ってきたエンジニアがゆっくりとキムに向かって手を差し出す。その手を取るキム。
この時のエンジニアはなんというか、それまでの「小物」感が吹き飛んでいて、キムの運命を翻弄する大きな力のように見えた。「その手を取っちゃダメー!」みたいな。いや、サイゴン自体は全然そんなストーリーじゃないんですが。ファウストを誘うメフィストのように、エリザベートを誘惑するトートのように(違)、なんとなくそんな雰囲気に。
で、一幕終了。涙を抑えながら横を見るとF嬢がハンドタオルで顔を覆っていた(笑)

2幕。ブイ・ドイは今井さんのが良かった。理由は人生経験=年の功だと思う(笑)この曲は20代が歌うには向かないような気がするんだな…。歌の表現にもうちょっと年輪や深みがほしい。でも悪くはなかった。
ここからはジョンの受難の始まり。重要なことを伝えようとしてるのに、興奮してる友を落ち着かせようとしてるのに、誰も話を聞いてくれない…(笑)私がジョンなら「お前ら人の話をきかんかーーーーー!」と怒鳴ってることでしょう。ジョンて偉い。

トゥイの亡霊が現れ、物語は回想シーンへ。「サイゴン陥落」。
ここはね…切ないですね。あのフェンスのセットが上手いんですよね。離されてく二人の距離感が伝わってくる。キムを探しに戻ろうとするクリスの顔面をぶん殴って引きずるジョン。このパンチは坂元ジョンのが激しかった。若さだ。
混乱する大使館にヘリが現れ、去ってゆく。ヘリも2階からのほうが迫力あるように見えたなー。
この後の「SUN&MOON」は唯一松さんが声をひっくり返らせてしまった。頑張れ。

「キムとエレンの対決」。ここは松さんが迫力あったなぁ。でもキムの強さが切ないし、エレンの弱さも切ない。ここのキムの強さってのは結末を知ってるだけに「命を燃やし」てるように見えるんだよね…。3年間一人で頑張ってきたパワーをここで怒りに変換して使い果たしてしまうような。
松さんは「♪もしあなたのせいで クリスの気が変わって 私達を捨てて行くというのなら~」まではメロディをつけて歌い、「今夜彼は私に会いに来るべきよ!」を台詞としてしゃべっていた。賛否両論あるだろうけど、彼女に関しては私は良かったと思う。筧さんもそうだけど、彼女もやっぱりミュージカル女優ではなく「舞台女優」だと思うので、あれがキムの気持ちを一番乗せられる形ならそれでいいんじゃないかなと。実際伝わってきたし。
そのキムに対して「彼を奪うなら戦う」と決意するエレン。弱いエレンなだけにこの決意が悲しい。

「告白」。今回もダダ泣きです。石井クリスの真骨頂というか。石井クリス・松キム・ANZAエレンの組み合わせでこのシーン観てると、ほんっと「誰も悪くないのにな…」と切ない気持ちになる。悪夢で飛び起きるクリスを必死で抱きしめてただろうエレンと、そんな事実も知らずにひたすらクリスに希望を持って生きてきたキム。それぞれの人生を必死で生きただけなのにね。
しかしジョンが入ってきて3重奏になると、ANZAの声が全く聞こえない(苦笑)がんばれ、ANZA!
そんな三人の周りを「♪タム引き取ってよ~」と歌いながら歩くキム。さっきの怒りで何もかもを放出してしまったように覇気はなく、痛々しい。

「アメリカン・ドリーム」。エンジニアの暗い過去が明らかになる「告白」から、そんな人生を歩んできたエンジニアの「夢」が膨らんでゆくこの歌。
前回見たときはどうしてここでこの曲が入るのか理解できなかったんだけど、松キムを見ていたらなんとなくしっくり行った気がする。
結局キムもエンジニアも辛い日々の中で同じように夢見ていたわけで、キムの夢が破れたことを知らないエンジニアはとうとう「これで夢が叶う」と希望に満ちてる状況なわけで。ある意味非常に滑稽で、その滑稽さがエンジニアのエンジニアたるところ…なのかな。
ダンスのキレは冴え渡り、高い音もラクチンにこなし、お姉さんの胸とお尻を触るシーンはほんっとに嬉しそうですね筧さん(笑)この曲見てると筧さんはやっぱりセンターに立つ役者なんだなと思う。狂言回しに使うには濃すぎるんじゃなかろうか、存在が。

そしてキムは破れた夢の向こうにタムという「希望」を見つける。髪をとかし、キャップを被せ、ミッキーのトレーナーを着せ、おしゃれをしたタムに微笑みかけてカーテンの向こうへ。
そこにやってきたエンジニアがタムにゆっくりと手を差し出す。そう、一幕の最後と同じなんですよ。ここでも筧エンジニアはその手で何か大きなものを表現してるように見えました。
室内から銃声が響き、慌てて飛び込む3人。エンジニアがタムを抱き寄せ頭を抑えてキムを見せないようにする。
クリスの腕の中のキムの演技が素晴らしく、瀕死の状態で必死にクリスの腕を掴もうとする松さんの細かい演技に拍手。

いや~、泣きましたね。マジ泣きです。プレビューの時はここまで泣かなかった。
そんでごはん食べながら色々話してたんですが、筧さんてエンジニア合わないのかなーって。あの2回の手を差し出すシーンがあんまり強烈だったからかもしれないんですけど、やっぱりああいう怖さというか不気味さを持つ役が似合うんじゃないかなぁって。エンジニアがそうじゃないわけじゃないんだけど…。この辺は他のエンジニア見てからの判断かなー。

とりあえずは坂元ジョン、お疲れ様でした。来月からはクリスで頑張ってください。(二役大変だなぁ)