東宝ミュージカル「レ・ミゼラブル」(ソワレ・ファン感謝デー)2005年04月06日 14:15

CAST:
バルジャン:今井清隆
ジャベール:鈴木綜馬
エポニーヌ:坂本真綾
ファンテーヌ:マルシア
コゼット:知念里奈
マリウス:泉見洋平
テナルディエ:徳井優
テナルディエの妻:瀬戸内美八
アンジョルラス:岸祐二

今井バル×綜馬ジャベの息が昨日よりも合っていたと思います。
今日は今井さんが初っぱなから飛ばしてまして、「独白」から涙の熱唱。「♪またあの地獄へ~ 送り返さずに~」の辺りのなんとも言えない表情が印象的。そういえば今井さんは「さて我が兄弟」と呼ばれたときに「兄弟?」みたいな感じで驚いた顔をしてた。だからかなぁ「♪兄弟と俺を呼んだ」辺りの歌詞をすごく大切に歌っている気がする。

綜馬さんは相変わらず熱い。「対決」での一歩も引かないあの迫力は凄かった。ジャベールが押すからバルジャンはそれ以上で押し返し、ジャベールがまた押す。そんな感じでどんどんボルテージが上がっていくので「♪考えろジャベール! 俺の力を」辺りは周囲の空気がビリビリ震えてるみたいだった。
そこから一転して「♪子供は私が守る」とファンテーヌを見る目の優しいこと。で、意外と(失礼)動きが素早い今井バルジャンがジャベールの腹と背にきれいに拳を入れて退場。ここで綜馬さんが「バタッ」っと倒れるもんだから、いつも「あ、ジャベール死んじゃった…」と思うんですよね(笑)

今日は特に二幕が印象的な日でした。なんだか学生たちが熱い!
泉見マリウスは「ここにいても同じだ!」とアンジョルラスを突き飛ばしそうな勢いだし、バルジャンは「任せろ俺が行く!」と今にも走り出しそうな勢いだし、二人を止めるアンジョルラスも体張って止めてるし。
その熱さが「ガブローシュの死」で最高潮になったような気がします。局田ガブちゃんがまた上手いんですよ。何度見ても子供にしか見えない上に、「男の子」なんですよ、勇敢な。で、盆が回ると伊藤グランが岸アンジョを睨み付けています。アーミーオフィサーの声で振り返るアンジョルラスの背中が小刻みに震えていて、ガブローシュの死に対しての怒りと悲しみが見えてくる。
そして「死のう!僕らは死など恐れはしない!」は、ほとんど絶叫でした。これでまた砦内のボルテージがぐんと上がる。
マリウスが撃たれ、アンジョルラスがグランテールにふわっと微笑みかけて駆け上がっていくのは伊藤グラン相手でも同じ。手元の酒瓶を一瞬見つめてからバリケードを爆走する伊藤グラン。速い!相変わらず速すぎる!正に爆走。
その一連の動きを見ていたらもう、涙止まらなくなりまして。すると周囲からも鼻を啜る音がそこかしこから。

砦が熱かったせいか、その後の泉見マリウスの「カフェソング」も涙を流しての熱唱。「♪窓に映る影 床にも姿が 空の椅子とテーブル」の辺りで机を叩いて感情を露わに歌う姿が印象的でした。悲しみよりも、生き残った自分自身や、生き急いでしまった仲間、そして多分体制に対しての怒りが強いイメージのマリウス。そんな彼を見つめる後ろの学生達の穏やかな表情がまた泣けるんですよ。

「バルジャンの告白」。最近、このシーンの今井さんがとても好きです。「頼むよ…」と涙ながらにマリウスを見つめる姿から、コゼットに対する愛情が痛いほど伝わってくる。最後のマリウスへの抱擁も優しくて、応える泉見マリウスの表情も良かった。

そしてエピローグ。実はここで一気に知念コゼットが好きになってしまいました。
迎えに来たファンテーヌが手を差し伸べ、その手をバルジャンが取ろうとする。ふとバルジャンの後ろを見てファンテーヌは身を引く。それを見たバルジャンが絶望したようにうなだれ(多分、「自分はやはり神の元へは行けないのか」という絶望かなぁ)、飛び込んできたコゼットに揺り起こされ夢から現実に返る。そんな一連の流れがわかりやすく理解できる自然な演技と絶妙なタイミング。
知念コゼットは「♪お前がいてくれて」の辺りで、聞こえない声で「パパ…」とつぶやいているのが口の形でわかる。それにもう一カ所、「♪私は父じゃない」でしばらく呆然とした後に首を振って、やはり「パパ」とつぶやいてからバルジャンに抱きつく。その「パパ」という言葉に今井バルジャンが本当に嬉しそうにコゼットを抱きしめ、キスをしてファンテーヌに導かれてゆく。
バルジャンが召されてしまった後の知念コゼットの悲しみと、それを支える泉見マリウスの意外な(失礼)男らしさがまたいい。この二人は雰囲気が合っている気がする。最後の手紙を読んだ後も、知念コゼットの表情は悲しみのまま。でもマリウスに抱きしめられ、悲しみを振り切るように笑顔を「作る」。最愛の父を失った悲しみを乗り切り「明日」に向かって生きて行く二人と、それを天から見守る人々。そんな構図がはっきり感じられた今回のステージでした。
いやほんっと良かったんです。今期ベスト更新かもしれない。

終演後は昨日に続いて「ファン感謝デー」。
今回の司会は坂本さんと泉見くん。演目はマルシアさんと坂本さんによる「On my own」と、女性アンサンブルによる「On my own」、そして昨日も披露された「夢やぶれて(ポルトガル語版)」でした。
マルシアさんのパワフルな歌声が良かったなぁ。役柄から解放されて(笑)思いっきり歌ってるんだけど詞の内容は「♪おいで~ 灯が消える~」。いやでも素晴らしかった。坂本さんはちょっとマルシアさんに圧倒されちゃってたかな?でも楽しそうでした。
女性アンサンブルの皆さんの中でも特に、マダム役の井上珠美さんが素晴らしかった!ハーモニーもばっちり決まって客席からは大きな拍手。これもう一回聞きたいなぁ。
マルシアさんは「夢やぶれて」を歌い終わった後、「もう歌うこともないんだろうなぁ」とちょっと涙ぐんでました。母国語で歌うこの曲、きっと感慨深いものがあったんだろうと思います。

そんなこんなで怒濤の連続観劇もいったんお休み。次は10日のマチネに行ってまいります!

東宝ミュージカル「レ・ミゼラブル」(マチネ)2005年04月10日 14:15

CAST:
バルジャン:今井清隆
ジャベール:岡幸二郎
エポニーヌ:ANZA
ファンテーヌ:井料瑠美
コゼット:知念里奈
マリウス:泉見洋平
テナルディエ:徳井優
テナルディエの妻:瀬戸内美八
アンジョルラス:岸祐二

e+の得チケが出てたので追加した日なんですが、流石日曜マチネ。覚悟はしてましたが上手側の思いっきりはじっこの席でした(^_^;
同じ得チケでも平日ソワレ分はもうちょい良席が出たみたいなんですけどね…。まあ半額で買ってるから文句は言わない。言わないけど、前の席の人が多分ご夫婦でいらしてたんですけど、二幕から席を入れ替わったんですよ。そしたら旦那様の座高が高くて、どセンターが立ってる頭以外見えない状態になってしまいました(号泣)
カテコもすごく盛り上がってたんでとてもいい公演だったと思うのですが、センターが見えない上に前の人が頭回したり首をコキコキさせたりするので集中できず、なんだか不完全燃焼な公演になってしまいました。仕方ないんですけどね…悲しい(T_T)

今井バルジャン×岡ジャベールの組合せは二回目。印象的だったのは「対決」かな。
岡さんてあんなにバルジャンに抵抗したり反撃したりしてたっけ?倒れた時もバルジャンの足に縋り付くようにしていて、ジャベールの執念深さを感じました。
それから今日は「自殺」になんか悲壮感が漂ってた気がします。狂気だけじゃない感じで。前にも書いたかもしれないですが、私はジャベールには理性で死を選んでほしいのでこっちのがいいな。あ、それと鬘が早々にほどけてましたね。あれはあれで迫力あっていいと思いました。
橋の欄干またぐ時に両足ついちゃう岡さんの足の長さにはいつも感服です(笑)

小鈴工場長がなんだかセクスィーでいい感じです。手紙銜えて両手でファンテにお触りしたり、手紙ひらひらさせてみたり。小鈴さんはコンブフェールも素敵でいいですよね。
そうそう!今日は砦に岸・小鈴・岡とアンジョルラスが3人!なんか華やかな砦でした。「♪昔は~オレも~戦った~」って、その通りですね、ハイ。そして5月にもう一度戦うわけですね(笑)

岸アンジョは最初の勢いだけの時期が終わって、色々考える時期なのかな~と思いました。(偉そうですいません) 色々な表情や演技を結構変えてきてるというか。今回もガブローシュが死んでしまった後の悲しみの表情と、アーミーオフィサーの声でリーダーの顔に戻る切り替え、そしてその後の「死のう!僕らは死など恐れはしない!」とグランテールへの笑顔に泣けてしまいました。

しかし、返す返すもセンター見えなかったのが悲しい(T_T)

映画「阿修羅城の瞳」試写会2005年04月11日 15:49

会社定時に飛び出して、駅から雨の中を全力疾走して何とか間に合いました。
4階まで階段駆け上がった時にはその場で力尽きるかと…。
汗だくだくになりながら席に着いて、上映開始。
結論的には「脚本家はがんばった!」「監督はもっとがんばれ!」。
以下箇条書きで思いっきりネタバレ感想です。






・前半、細々したとこをあれだけ引っ張るなら、師匠を舞台並みに瞬殺してもらって後半エピソードを丁寧にやってほしかった
・打鬼の鏡がなかったことにされているので名台詞「鏡の中に私がいる」も(以下略)
・↑な状態なので当然エンディングも(以下略)
・巨大阿修羅を見て「西遊記」の菩薩様とか如来様を思い出した
・邪空弱!つーか仮初めの命になってからもビジュアルが変わらないって…
・「飛びイナゴ」の説明がカットなので、「俺は邪空!安倍邪空!」もカット。当然のごとく「恋をすると鬼になると言ったな。ならば俺は男を絶とう!」も(以下略)
・樋口美惨は2000と2003を足して二で割ったような感じ。美しかった
・てゆーか、内藤師匠の使い方もったいなさ過ぎ
・阿修羅城戦で画面酔いした
・「あなたの赤い血を私の体が吸っている」はやっぱり霧状にしてほしかったな。風情なさすぎ
・りえちゃんは美しかったが、もうちょっとメイクとか凝ればよかったのに…
・阿修羅転生のシーンはもうちょっとどーにかならなかったのか
・そして「鏡の中にも~」と「やっと「殿」付けやめてくれたな!」がカットされているので、阿修羅は最後まで阿修羅のままに…
・「逆しまの阿修羅」がわかりやすくなっていた
・つばきと出門が何故恋に落ちたかの説得力はやっぱり薄い(笑)
・団吾さんの中で2003阿修羅の衣裳は決定版だったんだなぁと思った
・五行の存在はいったい…
・南北しゃんのエピソード全部やったら確かに収集つかないよね、二時間じゃ。くすん
・でも南北しゃんは南北しゃんで嬉しかった。ラスト美味しすぎ
・染かっこよすぎ
・染エロすぎ
・なんであんなにスクリーン映えするんだ染
・回想シーンは良かった
・いやだからとにかく監督が(以下削除)



色々突っ込んでますが、面白かったですよ。予想してたよりも全然。
中島さんの脚本の台詞をかなりそのまま使ってたのも良かった。
ただ、展開がスピーディーすぎて「やっと「殿」付けやめてくれたな!まったく段取りの多い女だぜ!」がなくなってしまい寂しい。大事な台詞だと思ったんだけどなぁ。
「約束?それだけ?」って台詞もとても曖昧になってしまった。舞台見てる私は舞台の記憶で脳内補完してぐっときたけど、見てない人だとどうなんだろうなぁ。
阿修羅転生シーンも弱いんだよな。鬼の前で転生しないから「鬼と変わるこの姿、貴方にだけ見らたのならば~」ってのがカット。いきなり「恨みまするぞ出門殿~」「人を、鬼を、そして何よりも出門、貴方を呪おう」ってこられてもなぁ。

でも「首が飛んでも~」は舞台版よりも格好良かったかもしれない。いやとにかく染はほんっと良かったよ。衣裳も全般的にいいし。
後は世界観的に、もうちょっと暗いイメージでも良かったかも…と思いました。

とりあえずレディースデー1000円か、前売り料金なら損はしないでしょう。
染好きだったら定価払ってでも観た方がいいです(笑)
しかし、桜姫だなんだのエピソードを切るために仕方ないとは思うけど、打鬼の鏡のエピソードがなくなったのは痛かった。「私は自分自身の呪いをいつも鏡で見つめてきた。鏡の中にも私がいる」って、この物語の大切な部分だと思うんだけどな。

東宝ミュージカル「レ・ミゼラブル」(マチネ)2005年04月15日 14:29

CAST:
バルジャン:今井清隆
ジャベール:今拓哉
エポニーヌ:ANZA
ファンテーヌ:マルシア
コゼット:河野由佳
マリウス:泉見洋平
テナルディエ:佐藤正宏
テナルディエの妻:森久美子
アンジョルラス:岸祐二

なんと!最前列センターでございました。いやー、バリケードがでっかいでっかい。間近で見ると改めてすごいセットだなぁと感動。
今井バルジャンの表情の細やかな変化や、ANZAの切ない笑顔、泉見くんの大きな目やバルジャンに担がれてるときの白目にも感動です(笑)
バリケードで足場にしてる部分がガンガン揺れていて、あれは怖いんじゃないかなぁと思ってみたり。
「一日の終わりに」のアンサンブルさん達の目力がすごくて負けそうだった。「ベガーズ」なんかでも生声がガンガン聞こえてきてすごいです。でもアンジョルラス見ようとすると結構首が痛いかも…だってずっと高いところにいるんだもの(笑)

なんといいますか、「うわー!うわー!」と感涙しながら見てる間に終わってしまって、せっかくの最前なのにいまいち記憶が薄かったりします…。幕間に色々あって、そのインパクトでまず1幕の記憶は薄いし;

そうそう、二幕の「Bring him home」で阿部グランが椅子に座って寝てるガブちゃんを引きずり下ろして自分で座るシーンがあるんですが、ここの少年ピエール(マルシア)の演技が印象的だった。
ガブちゃんを引きずり下ろした阿部グランを凄い目で睨み付けて、ガブちゃんに毛布を掛けてあげる→寝返りを打って足がはみ出したガブちゃんにグランが毛布を掛け直してあげる→それを見て驚いた顔をしたピエール、再び正面を向いたグランを上目で見ながらそっと酒瓶を渡す…という一連の動きだったのですが、今井さんの温かい歌声の中でバルジャンのマリウスへの想いと、グランテールのガブローシュに対する気持ちがリンクしたように感じて、それを感じ取ったピエールの演技がまたとても良かったので泣けて泣けて仕方なかったです。今まで全く注目してなかったのですが、なにせ目の前だったので気づいた時にはほんっと胸が熱くなりましたよ。
このシーンはアンジョルラスの背中も雄弁に語ってて、なにげに見所が多くて大変でした。

しかし最前列…すごい席ですね。実はもう1日分持ってたりするのですが、次回はもっときっちりと覚えていられるように冷静に見たいと思います。

東宝ミュージカル「レ・ミゼラブル」(マチネ)2005年04月16日 14:31

CAST:
バルジャン:山口祐一郎
ジャベール:岡幸二郎
エポニーヌ:新妻聖子
ファンテーヌ:井料瑠美
コゼット:知念里奈
マリウス:藤岡正宏
テナルディエ:徳井優
テナルディエの妻:瀬戸内美八
アンジョルラス:岸祐二

昨日とは打って変わって二階B席。でもセンターだったから音がしっかり聞こえてきて良かったです。

山口バルジャンが、今まで見た中で一番良かったです。やっぱり1900回の時のあれは調子悪かったんだー!と思いました。「独白」や「彼を帰して」の声の張りや伸びが全然違うんだもの、びっくりです。天下の山口さんでもやっぱりコンディションでこんなに変わるんですね。てゆーか山口さんは働き過ぎだと思う…。希有な才能の方だし、もっとご自身を大切にしてほしいです。

新妻エポちゃんの進化もびっくり!実は今回組み合わせの関係か見られる回数が凄く少なくて残念だったんですが、今日追加して良かったなーと心底思いました。前回見たときは「恵みの雨」でキムがダブって見えてしまい、「うーん…」て部分があったんですけど、今回はもう完全にエポちゃん!持ってる雰囲気がわりと大人っぽい新妻さんのせいか、マリウスと一緒に居たいが為に「女」の部分を一生懸命感じさせないようにしてるいじらしさというか、そんな感じがしました。「恵みの雨」は切なかったな。藤岡くんの若さがまた痛々しい。

藤岡くんは見るたびに変化してますね。3月の頃のが落ち着いた感じで、今は若さが爆発してるように見える(笑)私的にはその方が好き。
「プリュメ街」で他のマリウスは柵を乗り越えてから「♪溢れる~愛~」まで間がなくて結構わたわたして見えるのですが、藤岡マリウスは着地して歌い出しまでにかなり余裕がある。なぜなら柵登りが高速だから(笑)「♪君をこまらせた~ ああ君の~名前も~知らない」の所なんか一回柵の上まで登ってるんだもん(他マリウスは「登ろうとする」だけ)。いやー、若いなぁ。こういうところに溢れる若さが(笑)

そうそう、岡ジャベが「自殺」のラストでやらかしてしまいました…。
「♪俺には行く道…行く道、も、な~~~~い」みたいな。「♪行く~み~ち~も~な~い」なら良かったんでしょうが、「行く道」を一気に歌ってしまったのでリズムが合わず、「も」の前に妙な空間が…(^_^; そのまま落ちて行くジャベールにちょっと「あらら~;」でした。いやでもそこまでは素晴らしいジャベールだったんですよ~。

岸アンジョは藤マリとのコンビがとてもいい!まず声が合ってる。それから年齢差がいい感じに作用してる。「恵みの雨」後のマリウスを慰めるシーンなんかほんっと良かった。岸アンジョは自分がメインのシーン以外でも色々と細かい演技をしているので油断できません。
あと給仕の時、あんなにあからさまにドモにちょっかい出してたっけ?なんか改めて見てびっくりしました。

さあ、明日は大好きな「今・今」コンビです。楽しみだ~♪