劇団☆新感線「髑髏城の七人」(アカドクロ)2004年06月06日 15:03

@新国立劇場中ホール(5/8)&東京厚生年金会館(6/2.5.6)

チケ取りから延々半年続いたアカドクロ。
財政破綻を起こすから2回しか行かない!とか言ってたのに結局4回見たアカドクロもとうとう終わってしまいました。
なんだかとっても脱力状態で、楽日夜から風邪っ引きです(苦笑)

何から書いたらいいんですかねぇ。なんというか、久々にこう、終わった後に見てるだけなのに達成感を感じてしまった舞台というか、とにかくパワーがある舞台でした。
MY初日が新国立の楽で、先に見た方のレビューとか読んであまり出来がよろしくないという意見が多かったのでドキドキしてたんですが、いや泣いた泣いた。
噂に聞いてた奥行きの広さは「多少もてあまし気味?」な部分もあったんですが、ストーリーに一本筋が通った感じで、正直この段階で自分的に97年版よりもアカドクロに軍配が上がってしまいました。
ただ、まだ舞台に馴染んでないような雰囲気だった女性陣3人がちと弱いかなぁというのと、兄さの鎌捌きがちょっと劣化してしまった気がするのが残念だったと思った覚えがあります。

で、6月入って厚生年金公演見てひっくり返ったわけですよ、女性陣のがんばりに!
きっと色々言われて辛かったと思うんですよね。特に劇団の顔でもある高田・粟根両氏の役を引き継いだ二人は。
でも二人ともちゃんと新しいキャラクターを作り上げていて、それが「アカドクロ」という新しい髑髏城を完成形まで持っていった原動力だったと思います。女性陣の頑張りが私をここまで感動させてくれたんだろうなぁ。
厚生年金会館ではストーリーに加え、人物にも一本筋が通って、ものすごく骨太なドラマになってました。

極楽太夫は小さく細く、見た目と能力はとてもか弱い。でも人としての強さをしっかり持っていて、時に兵庫を叱咤し、その背中を叩くこともできる。坂井嬢の持ち味を活かして、よくぞここまでキャラクターを育ててくれたと心から拍手。「りんどうよ…本当の名前はりんどう」。ここの可愛さといったらもう…お姉さんドキドキしちゃうよって感じでした(笑)
で、それによって兵庫という人間の成長がとても良く描かれてたと思うんですよね。前半のバカさかげんから守るもののためにどんどん強くなる兵庫。男前で今回も惚れました。
前回叫んでいた「てめぇがザコだと思ってる連中の力、見せてやるよ」という決めゼリフを叫ばなくなったところにじゅんさんの年輪を感じました(笑)渋いなぁ。

沙霧はいかにも「子ども」になったなぁと思います。一人生き残れと逃がされて、いっぱいいっぱいで必死に生きてる。赤針斎という名前もその才能に与えられたもので、リーダーシップは多分じっちゃんが取ってたんだろうなぁってのがすんごく伝わってくる。飛んだり跳ねたり拗ねたり、とにかく可愛い沙霧ちゃんでした。彼女で好きなシーンは髑髏城攻めの最中にボコボコにされてる三五を助けに「ばばーん!」とばかりに胸張って出てきてズバズバ人斬るシーン。その後初めて1人敵を倒せてガッツポーズの三五とセットで大好きです(笑)てゆーか今回の髑髏城は三五と沙霧がいい雰囲気に見えたんですが気のせいでしょうか。

捨はもう、あんま語ることないっす。人間的に大きくなって魅力的になったけど男の魅力がちょっと減ったかな?(笑)でもオヤジスキーな私は今回の枯れた色気にメロメロなのでした。OPで見え切るシーン、楽日はなんかもう泣けましたよ。あのOPはもう思い出すだけで目がうるうるします…。

で、今回一番はやっぱり蘭兵衛なんですよ!もう、もうミキたん最高だよ!惚れたよ!男の色気を感じまくったよ!
新宿に帰ってきた蘭は、なんかもう開き直ったかのように「男」なんですよ!声の出し方も新国立は細くて不安定だったのがものすごく低く、張った声に変わってたし。
1幕ラストの「女を捨て、意地を捨て、殿を捨ててまで拾ったこの命。安くはないぞ…天魔王!」の決め台詞は鳥肌立つほどカッコよかった。
2幕の煙管での殺陣はスピードリズム感共にレベルアップ、天魔の媚薬のシーンには悲しさを感じ、そんで蘭の最後のシーン。千秋楽は極楽の叫びも含めてあまりにも切なかった。
「くぅおぉぉぃたゆぅぅぅぅ!!!!」…字面にすると間抜けで申し訳ないのですが、こんな感じで絶叫して刀を振り上げて向かってゆく蘭。動かない蘭に向かってまだ銃弾を打ち込もうとする極楽、そして泣き叫ぶように「もういいんだ!」とそれを止める兵庫。なにか一つでもタイミングがずれていればこうはならなかったろうに…と涙ボロボロでした。そこにやってきた捨の「蘭兵衛すまねぇ、俺はいつも遅すぎる」という一言でまた涙ですよ。
蘭兵衛は蘭丸に戻っても女には戻ってなかったのかな、今回。「女を捨てて殿に忠義を~」って言ってたから、武士として本懐を遂げられなかったことが辛かったんだろうなぁ。守るべきものに守られて生き残ったということにプライドをずたずたにされただろうし。
ラストシーンで天の殿様の髑髏と共に炎に包まれた蘭の花。蘭丸が一番戻りたかった本能寺に戻って、今度こそ天の殿様と一緒に駆けて行ったんだなぁと思うと再び涙。(でもこれDVDには入らないのね…悲しい)

捨の首を切らなきゃいけないことに対しての整合性も通ったし、新感線の髑髏城としてはこれが完成形なんだろうなぁと思います。アオドクロはまた別物になるんだろうし。

なんか色々書きたいことはあるんですが、一度には書ききれなさそうなのでまたおいおい追加していきますです。
とにかく。結論から申し上げますとアカドクロは私の新感線No.1芝居となりました(笑)4回見に行くことにしてホント良かった…。