スーパー歌舞伎「ヤマトタケル」(夜の部) ― 2005年03月19日 15:35
@新橋演舞場
・ヤマトタケル 段治郎
・タケヒコ 右近
初スーパー歌舞伎でした。
もうですね、一言で言うと「あなどっていてごめんなさいm(__)m」です。
大変失礼ながらイメージ的に「衣裳と演出でショーアップされた派手な舞台」という印象しかなかったのですが、みたらとても面白しろく、良く出来ていて、時間と懐に余裕があればもう一回見たい感じです。特にメインテーマの曲がとても気に入りました。
新感線のいのうえ歌舞伎ってこの辺をすごく意識してるんだろうな~と、改めて思いましたね。
印象的だったのは1幕で熊襲に襲撃をかけるシーンと、2幕ラスト。
熊襲のシーンはですね、音楽聞えてきた瞬間にすご~く新感線と近い物を感じてしまい、ドキドキ。そして熊襲を治める兄タケル・弟タケルの衣裳がすごくて、兄は背中に蛸、弟は蟹を背負ってて「うわー!」って。
宴会する熊襲の民たちが大きなセットと一緒に盆で回ってくる演出なのですが、このセットがすごい。仕掛けがいっぱいでタイマツが入ってる篭は落ちてくるわ、2階の壁が抜けて人が吹っ飛ぶわ、戦ってる最中にそこらに置いてある樽が飛び交ってるわ(笑)
ストーリーの部分も熊襲を平定を命じられた小碓命が女装してやってきて、「彼女」を兄弟で取りあったあげくに二人とも小碓に殺されるわけですが、最後に「勇者にふさわしい「タケル」の名と熊襲の魂を引き継いでほしい」と懇願され小碓は「ヤマト(の)タケル」を名乗るようになる…と、すごくわかりやすい展開。
でもこの「わかりやすさ」ってのが大事だと思うんですよ。
二幕では熊襲を平定したヤマトタケルが、今度は蝦夷を平定してこいと言われてしまうわけです。(帝の跡継ぎ問題だったり色んな理由で疎まれてるんですよね…哀しい)
相模で罠に嵌められて、火に取り囲まれるシーンなんかも面白かったな。火のイメージに旗を使ってるんですが、これがちゃんと火が燃えてるように見える。そして歌舞伎系のわりには殺陣もかなり動きがあって、特に雑技団から来てるアクロバット部隊の連続バク転やトンボがすごいすごい!度迫力のアクションに客席から拍手が連発。最後はタケヒコが炎のフラッグ(敵方の付けた火に、タケルが神の火で対抗するわけです)をぶんぶん振って「アンジョルラスが勝った!」状態(違)で場面転換。
今度は一転して蝦夷へ渡る為の海のシーンにチェンジするのですが、このシーンが切ない。海が荒れて、「どうしたら無事に渡れるか」を占ったところ「ヤマトタケルの一番大切なものを海に差しだせ」という神託が降りる。大切なもの=旅に同行していた第二夫人の弟橘姫。タケルは「そんなことせんでも渡れる!」と強行しようとするわけですが、事態を察した弟橘姫が「私は所詮第二夫人。あなたが帝になっても皇后にはなれない。だったら海の神様の元へ嫁いで海の皇后になる」と心にも無い言葉をきっぱりと言い切って、皇后にふさわしい24枚の畳をあなたの手で海に投げてくれと懇願。
ここの弟橘姫(春猿)さんがほんっとうに美しく、可憐で、凛としていて泣ける泣ける。基本的にヘタレキャラのヤマトタケル(てゆーか段ちゃん)はもう鼻水ダラダラの号泣状態なのですが、涙で流れた目元の朱が血の涙のようでそれがまた泣ける。「あなたの手でこれを投げてくれることが私への愛の証だと信じて、私は海の神の元へ旅立つことができるのです」と言われてタケルが畳を投げ込むとこもまた泣けました…。半分はタケルの貰い泣きです。
そのまま海へ消えてゆく弟橘姫の名を絶叫しながら二幕完。
で、三幕は「今度こそ大和の国へ凱旋!」と思った矢先にまた国つ神退治を命じられるヤマトタケル。健気に父を信じて引き受けるヤマトタケル。でもちょっと慢心して神剣「草薙剣」を第三夫人(…)に預けていくヤマトタケル…。
結局慢心が原因で重症を負って、故郷へ辿り着けないままタケルは死んでしまうわけです。「帰りたい…帰りたい…」と泣くタケルの姿がでっかい子どものようで切ない。最後の絶命シーンでは絶対に弟橘姫が「行きましょ~自由な~処へ~」とお迎えに来ると思ってたのですが、来なかったなぁ。
そしてタケルの魂が白鳥となって天に帰るラストシーン。ここで宙乗りが入るんですが、両腕を翼に見立てた衣裳のせいも相まってでかい。とにかくでかい。だって単純に縦横1間の白鳥ですよ?予想はしてたけど本当にでっかくて驚きました。宙乗りの鳥屋口(でいいのかな?)の間口が小さくて翼広げると入らないからウルトラマン状態で突っ込んでゆくタケルがまた間抜けだったり…(笑)
スーパー歌舞伎にカーテンコールがあるのも驚きましたが、全キャストが「役のまま」カーテンコールに出てくることにもっと驚きました。熊襲兄弟は動きシンクロしたままだし、帝が出てくる時には皆頭を垂れる。鳥屋口からダッシュしただろうヤマトタケルは父帝の手を取って、随分長い間そこに額をつけてました。それを見つめる帝の表情を見ていて「やっとタケルの気持ちが父上に伝わったんだなぁ」と、ちょっとウルウル。カーテンコールでこんなに感動するとは。
とにかく仕掛けが多く、派手で、尚且つ単純明快で爽快なストーリー。豪華な衣裳も眼福だったし、とにかく「お客さんを楽しませよう」という気持ちがとても伝わってくるいい舞台でした。
個人的には1月の演舞場に続いて春猿さんの初々しさ・清純さに惚れてしまった感じです。
機会があったら右近さんバージョンも見てみたいなぁ。
・ヤマトタケル 段治郎
・タケヒコ 右近
初スーパー歌舞伎でした。
もうですね、一言で言うと「あなどっていてごめんなさいm(__)m」です。
大変失礼ながらイメージ的に「衣裳と演出でショーアップされた派手な舞台」という印象しかなかったのですが、みたらとても面白しろく、良く出来ていて、時間と懐に余裕があればもう一回見たい感じです。特にメインテーマの曲がとても気に入りました。
新感線のいのうえ歌舞伎ってこの辺をすごく意識してるんだろうな~と、改めて思いましたね。
印象的だったのは1幕で熊襲に襲撃をかけるシーンと、2幕ラスト。
熊襲のシーンはですね、音楽聞えてきた瞬間にすご~く新感線と近い物を感じてしまい、ドキドキ。そして熊襲を治める兄タケル・弟タケルの衣裳がすごくて、兄は背中に蛸、弟は蟹を背負ってて「うわー!」って。
宴会する熊襲の民たちが大きなセットと一緒に盆で回ってくる演出なのですが、このセットがすごい。仕掛けがいっぱいでタイマツが入ってる篭は落ちてくるわ、2階の壁が抜けて人が吹っ飛ぶわ、戦ってる最中にそこらに置いてある樽が飛び交ってるわ(笑)
ストーリーの部分も熊襲を平定を命じられた小碓命が女装してやってきて、「彼女」を兄弟で取りあったあげくに二人とも小碓に殺されるわけですが、最後に「勇者にふさわしい「タケル」の名と熊襲の魂を引き継いでほしい」と懇願され小碓は「ヤマト(の)タケル」を名乗るようになる…と、すごくわかりやすい展開。
でもこの「わかりやすさ」ってのが大事だと思うんですよ。
二幕では熊襲を平定したヤマトタケルが、今度は蝦夷を平定してこいと言われてしまうわけです。(帝の跡継ぎ問題だったり色んな理由で疎まれてるんですよね…哀しい)
相模で罠に嵌められて、火に取り囲まれるシーンなんかも面白かったな。火のイメージに旗を使ってるんですが、これがちゃんと火が燃えてるように見える。そして歌舞伎系のわりには殺陣もかなり動きがあって、特に雑技団から来てるアクロバット部隊の連続バク転やトンボがすごいすごい!度迫力のアクションに客席から拍手が連発。最後はタケヒコが炎のフラッグ(敵方の付けた火に、タケルが神の火で対抗するわけです)をぶんぶん振って「アンジョルラスが勝った!」状態(違)で場面転換。
今度は一転して蝦夷へ渡る為の海のシーンにチェンジするのですが、このシーンが切ない。海が荒れて、「どうしたら無事に渡れるか」を占ったところ「ヤマトタケルの一番大切なものを海に差しだせ」という神託が降りる。大切なもの=旅に同行していた第二夫人の弟橘姫。タケルは「そんなことせんでも渡れる!」と強行しようとするわけですが、事態を察した弟橘姫が「私は所詮第二夫人。あなたが帝になっても皇后にはなれない。だったら海の神様の元へ嫁いで海の皇后になる」と心にも無い言葉をきっぱりと言い切って、皇后にふさわしい24枚の畳をあなたの手で海に投げてくれと懇願。
ここの弟橘姫(春猿)さんがほんっとうに美しく、可憐で、凛としていて泣ける泣ける。基本的にヘタレキャラのヤマトタケル(てゆーか段ちゃん)はもう鼻水ダラダラの号泣状態なのですが、涙で流れた目元の朱が血の涙のようでそれがまた泣ける。「あなたの手でこれを投げてくれることが私への愛の証だと信じて、私は海の神の元へ旅立つことができるのです」と言われてタケルが畳を投げ込むとこもまた泣けました…。半分はタケルの貰い泣きです。
そのまま海へ消えてゆく弟橘姫の名を絶叫しながら二幕完。
で、三幕は「今度こそ大和の国へ凱旋!」と思った矢先にまた国つ神退治を命じられるヤマトタケル。健気に父を信じて引き受けるヤマトタケル。でもちょっと慢心して神剣「草薙剣」を第三夫人(…)に預けていくヤマトタケル…。
結局慢心が原因で重症を負って、故郷へ辿り着けないままタケルは死んでしまうわけです。「帰りたい…帰りたい…」と泣くタケルの姿がでっかい子どものようで切ない。最後の絶命シーンでは絶対に弟橘姫が「行きましょ~自由な~処へ~」とお迎えに来ると思ってたのですが、来なかったなぁ。
そしてタケルの魂が白鳥となって天に帰るラストシーン。ここで宙乗りが入るんですが、両腕を翼に見立てた衣裳のせいも相まってでかい。とにかくでかい。だって単純に縦横1間の白鳥ですよ?予想はしてたけど本当にでっかくて驚きました。宙乗りの鳥屋口(でいいのかな?)の間口が小さくて翼広げると入らないからウルトラマン状態で突っ込んでゆくタケルがまた間抜けだったり…(笑)
スーパー歌舞伎にカーテンコールがあるのも驚きましたが、全キャストが「役のまま」カーテンコールに出てくることにもっと驚きました。熊襲兄弟は動きシンクロしたままだし、帝が出てくる時には皆頭を垂れる。鳥屋口からダッシュしただろうヤマトタケルは父帝の手を取って、随分長い間そこに額をつけてました。それを見つめる帝の表情を見ていて「やっとタケルの気持ちが父上に伝わったんだなぁ」と、ちょっとウルウル。カーテンコールでこんなに感動するとは。
とにかく仕掛けが多く、派手で、尚且つ単純明快で爽快なストーリー。豪華な衣裳も眼福だったし、とにかく「お客さんを楽しませよう」という気持ちがとても伝わってくるいい舞台でした。
個人的には1月の演舞場に続いて春猿さんの初々しさ・清純さに惚れてしまった感じです。
機会があったら右近さんバージョンも見てみたいなぁ。
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