劇団☆新感線「吉原御免状」(初日) ― 2005年09月08日 15:15
@青山劇場
なんとか間に合うように会場に着いて、座席へ。なんとXC列センターブロック!
座った瞬間に同行のY嬢と「やったわ!思ったほど舞台高くない!」。だって前に新感線で最前列座ったときは首痛くて悲惨だったんだもの…。ぼーっとチラシを眺めていると「メタルマクベス」の仮チラが。上條恒彦さん出るのか!(そこかよ)
というわけで、以下舞台原作入り乱れてのネタバレしまくりです。
とりあえずですね、終わって一番に思ったのが「これは歌舞伎座で歌舞伎で見たい」でした。セットの使い方が盆回し→止まったところで上下にかきわり背景設置という歌舞伎パターンだったせいかな。それからですね、これが一番の理由なんですが勝山=玉さん、高尾=福助さんで見たいんですよ。
初っぱなの花魁道中がすれ違うシーン見て、去年の海老蔵襲名の「助六」を思い出してしまったわけです。「では揚巻さん」「では白玉さん」て二人で捌けていくあのシーンですよ。
実現してくれないかなぁ。回り盆の奥から坂道を降りてくる福助@高尾に、「勝山太夫だー!」の声で鳥屋口が「シャリーン」と鳴って花道を進んでくる玉三郎@勝山。美しー!絶対うっとりですよ。で、二人して見栄切るわけです。見たい…見たいぞー。
まあ、それはともかく。原作の世界を良く具現化したなーと思いました。綺麗なセットにセンターの坂道が効いてます。盆回しで転換してく辺りちょっとレミゼちっくというか。照明も綺麗だったなぁ。ただ、セット転換してる人たちがあまりにも(センターブロックにいるのに)丸見えだったのがなんとも。起きあがる死体が丸見えだったし、そこら辺も歌舞伎テイスト?
今回曲がものすごく良かった。新感線で初めてサントラ買ってしまったです。しかしサントラは正面ロビーでは販売してないので、購入したい方はご注意あれ。
キャスト。
堤さん@誠一郎
ものすごく主観なんですが…と前置き。
堤さんが誠さんをやるならこうなるんだろうな…と予想した通りの誠一郎だった。でもなんというかなぁ。原作ファンだからってのは置いておいても、勝山みたいな人が命がけで惚れ込むタイプには見えないんだよなー。「陽」すぎるというか、曇りない青空すぎるというか。町娘には大人気になりそうだけど、遊郭で太夫が本気になる人には見えないというか。
よくある台詞で「なんて澄んだ目をしているのかしら…それなのになんだか寂しそう」みたいなのがありますが、誠一郎ってそういう人だと思うんですよ。でも堤さんの誠一郎からはそういうのが見えない。
誠一郎は親に棄てられたということを深い傷として持っている人で、それが「捨て子ではなかった」と知った瞬間にボロボロ泣いて嬉しがるシーンが原作ではあるんですよ。けど、舞台ではそこを結構さらっと流してしまった。このシーンは誠一郎の象徴的なシーンだと思うんですが、敢えて流したってことは誠一郎のキャラ作りを原作とは違う形で持ってきたのかなーなんて思ってみたり。
つっつん誠さんは最初からすごく人間くさくて、田舎から出てきたボウヤって感じで、人情家な雰囲気。だから最後の義仙の「やっと人間らしくなってきた」という台詞が響いてこない。その代わり自分の憎しみや怒りで人を斬った後の誠一郎の「俺の中にも鬼がいた」という台詞はズンときた。
今回凄く良かったのはそのシーンと、おばばさまの夢の中のヤング幻斎。このキャラクターは合ってた。生き生きしててとっても魅力的な幻斎だったと思う。でも誠一郎になるとどうも違和感があって。タイプ的に誠一郎の師である武蔵なんかのがイメージできたかも。「見守り」タイプなのかなぁ。
違和感の原因を考えてみたんだけど、「若作り」しすぎなんじゃないかなって。声とか表情とか。当時の25歳って若いかもしれないけど「ガキ」じゃない。童貞だったのはウブだからじゃなくて、山の生活の中で女の存在がなかったから。逆に大人びた部分があってもいいんじゃないかなーと思うわけです。
で、ふと思ったのがこういう「素朴・真っ直ぐ」な持ち味の人が義仙やったら古田義仙とは別な意味で怖いんじゃないかなと。全く疑いがなく、真っ直ぐに悪。一つの捻れもない、正義のような悪。それはそれで見てみたいねとY嬢と話しておりました。
しかし、殺陣が美しかったなー。刀振る腕の筋肉や、腰を落とした時の筋肉がもんのすごく綺麗!なんせあの距離だもんで、目の前に座って足開いてくれるわ、目の前で褌一丁姿が見えるわ、褌どころか胸板の間を流れる汗まで見えてドキドキですよ。堪能させていただきました。
松雪さん@勝山
もうね、出てきた瞬間「うわー!勝山だ!」と。艶やかさといい、背負っている哀しい雰囲気といい、ぴったりはまり役。勝山は惨殺されてしまう人なので、あの惨い最後をどこまでやるかと思ったらきっちりやってて「うわ~」と。(流石に胸は見せませんでしたが)「主さんに…惚れんした」ってシーンには思わず泣けてしまいました。もっと回数重ねて、気持ちが乗ってきたらどうなっちゃうんだろうとドキドキします。
京野さん@高尾
最初このキャスティングには微妙に「うーん」と思ったんですが、松雪さんの勝山に対しての高尾ならアリなのかなと。声に迫力がないのは残念でしたが、「大奥」やってたせいか、意外に着物も着こなしてていい感じ。ただ、あの微妙な日本舞踊もどきはなくても良かったんじゃないかなぁ。
誠さんとのシーンで思いっきり上半身脱いでいて、どきっとしてしまいました。高尾はいいシーンが結構カットされてて、彼女の気持ちが伝わりにくい部分はあったと思いますが、美しくも優しげな表情で勝山と上手く対比になってた感じです。楽日近くにはかなり変わるんじゃないかなぁ。
古田さん@義仙
悪役楽しそうで何よりでした(笑)勝山惨殺シーンで鉄棒突っ込んだ後の退場シーン。なんて嬉しそうな顔してるんだ!と。心の底から女をいたぶることを楽しんでる義仙でした。古田義仙はどっちかというと続編の「かくれさと苦界行」の義仙が見たいな。義仙という人物が掘り下げて描かれてるのは続編の方なので。原作読んだ時のイメージだと、神経質そうで細身の大男って印象だったんですが、古田さんの義仙見るともうそれしか浮かばなくなってしまいました。
じゅんさん@宗冬
この人は真面目に演技すると本当にかっこいいんですよ。惚れ惚れしてしまいました。誠一郎に柳生剣を伝授するシーンがなくなってて残念。宗冬ってすごく好きなキャラクターなので、じゅんさんが演じてくれて嬉しかったです。
聖子さん@おばば様
出てきてしばらくは「おばば様のイメージが…」と思ってちょっとショックだったのですが、出番終わるまで見たら「なんて素敵なおばば様だろう!」と。聖子さんも背中が色っぽいですね~。彫り物がまた綺麗で綺麗で。ちょっとお茶目で可愛らしく、どこか神秘的なおばば様でした。
おひょいさん@幻斎
プロンプの声が丸聞こえでした(ははは)。初日だし、まあ仕方ないですよね。70オーバーだし。歌舞伎見てても初日付近は大御所(たまに若手でも)の後ろでプロンプが台詞言いまくってたりするので慣れちゃったせいもあるんでしょうか。甘い?プロンプ、川ちゃん辺りがやってた気がするのですが、声が美声で通るからまた良く聞こえるんだわこれが…。
でも役のイメージとしてはぴったり。流石に殺陣はありませんでしたが、台詞しっかり入ったらかなりいい感じなんじゃないでしょうか。
印象に残ってるのはこの方々くらいかなぁ。後はですね、膳さんが初日から飛ばしまくってたとか、村木姉さんとサンボちゃんがいい役持って行ってたとか、メタルくんのヘタレさが良かったとか、そんな感じですかね。粟根さんは斬られっぷりが素晴らしかったです。久々に逆木さんを拝見できたのも嬉しかった。
とりあえず、色々言ってますが良かったですよ。後半でもう1回見たいかな、やっぱり。
なんとか間に合うように会場に着いて、座席へ。なんとXC列センターブロック!
座った瞬間に同行のY嬢と「やったわ!思ったほど舞台高くない!」。だって前に新感線で最前列座ったときは首痛くて悲惨だったんだもの…。ぼーっとチラシを眺めていると「メタルマクベス」の仮チラが。上條恒彦さん出るのか!(そこかよ)
というわけで、以下舞台原作入り乱れてのネタバレしまくりです。
とりあえずですね、終わって一番に思ったのが「これは歌舞伎座で歌舞伎で見たい」でした。セットの使い方が盆回し→止まったところで上下にかきわり背景設置という歌舞伎パターンだったせいかな。それからですね、これが一番の理由なんですが勝山=玉さん、高尾=福助さんで見たいんですよ。
初っぱなの花魁道中がすれ違うシーン見て、去年の海老蔵襲名の「助六」を思い出してしまったわけです。「では揚巻さん」「では白玉さん」て二人で捌けていくあのシーンですよ。
実現してくれないかなぁ。回り盆の奥から坂道を降りてくる福助@高尾に、「勝山太夫だー!」の声で鳥屋口が「シャリーン」と鳴って花道を進んでくる玉三郎@勝山。美しー!絶対うっとりですよ。で、二人して見栄切るわけです。見たい…見たいぞー。
まあ、それはともかく。原作の世界を良く具現化したなーと思いました。綺麗なセットにセンターの坂道が効いてます。盆回しで転換してく辺りちょっとレミゼちっくというか。照明も綺麗だったなぁ。ただ、セット転換してる人たちがあまりにも(センターブロックにいるのに)丸見えだったのがなんとも。起きあがる死体が丸見えだったし、そこら辺も歌舞伎テイスト?
今回曲がものすごく良かった。新感線で初めてサントラ買ってしまったです。しかしサントラは正面ロビーでは販売してないので、購入したい方はご注意あれ。
キャスト。
堤さん@誠一郎
ものすごく主観なんですが…と前置き。
堤さんが誠さんをやるならこうなるんだろうな…と予想した通りの誠一郎だった。でもなんというかなぁ。原作ファンだからってのは置いておいても、勝山みたいな人が命がけで惚れ込むタイプには見えないんだよなー。「陽」すぎるというか、曇りない青空すぎるというか。町娘には大人気になりそうだけど、遊郭で太夫が本気になる人には見えないというか。
よくある台詞で「なんて澄んだ目をしているのかしら…それなのになんだか寂しそう」みたいなのがありますが、誠一郎ってそういう人だと思うんですよ。でも堤さんの誠一郎からはそういうのが見えない。
誠一郎は親に棄てられたということを深い傷として持っている人で、それが「捨て子ではなかった」と知った瞬間にボロボロ泣いて嬉しがるシーンが原作ではあるんですよ。けど、舞台ではそこを結構さらっと流してしまった。このシーンは誠一郎の象徴的なシーンだと思うんですが、敢えて流したってことは誠一郎のキャラ作りを原作とは違う形で持ってきたのかなーなんて思ってみたり。
つっつん誠さんは最初からすごく人間くさくて、田舎から出てきたボウヤって感じで、人情家な雰囲気。だから最後の義仙の「やっと人間らしくなってきた」という台詞が響いてこない。その代わり自分の憎しみや怒りで人を斬った後の誠一郎の「俺の中にも鬼がいた」という台詞はズンときた。
今回凄く良かったのはそのシーンと、おばばさまの夢の中のヤング幻斎。このキャラクターは合ってた。生き生きしててとっても魅力的な幻斎だったと思う。でも誠一郎になるとどうも違和感があって。タイプ的に誠一郎の師である武蔵なんかのがイメージできたかも。「見守り」タイプなのかなぁ。
違和感の原因を考えてみたんだけど、「若作り」しすぎなんじゃないかなって。声とか表情とか。当時の25歳って若いかもしれないけど「ガキ」じゃない。童貞だったのはウブだからじゃなくて、山の生活の中で女の存在がなかったから。逆に大人びた部分があってもいいんじゃないかなーと思うわけです。
で、ふと思ったのがこういう「素朴・真っ直ぐ」な持ち味の人が義仙やったら古田義仙とは別な意味で怖いんじゃないかなと。全く疑いがなく、真っ直ぐに悪。一つの捻れもない、正義のような悪。それはそれで見てみたいねとY嬢と話しておりました。
しかし、殺陣が美しかったなー。刀振る腕の筋肉や、腰を落とした時の筋肉がもんのすごく綺麗!なんせあの距離だもんで、目の前に座って足開いてくれるわ、目の前で褌一丁姿が見えるわ、褌どころか胸板の間を流れる汗まで見えてドキドキですよ。堪能させていただきました。
松雪さん@勝山
もうね、出てきた瞬間「うわー!勝山だ!」と。艶やかさといい、背負っている哀しい雰囲気といい、ぴったりはまり役。勝山は惨殺されてしまう人なので、あの惨い最後をどこまでやるかと思ったらきっちりやってて「うわ~」と。(流石に胸は見せませんでしたが)「主さんに…惚れんした」ってシーンには思わず泣けてしまいました。もっと回数重ねて、気持ちが乗ってきたらどうなっちゃうんだろうとドキドキします。
京野さん@高尾
最初このキャスティングには微妙に「うーん」と思ったんですが、松雪さんの勝山に対しての高尾ならアリなのかなと。声に迫力がないのは残念でしたが、「大奥」やってたせいか、意外に着物も着こなしてていい感じ。ただ、あの微妙な日本舞踊もどきはなくても良かったんじゃないかなぁ。
誠さんとのシーンで思いっきり上半身脱いでいて、どきっとしてしまいました。高尾はいいシーンが結構カットされてて、彼女の気持ちが伝わりにくい部分はあったと思いますが、美しくも優しげな表情で勝山と上手く対比になってた感じです。楽日近くにはかなり変わるんじゃないかなぁ。
古田さん@義仙
悪役楽しそうで何よりでした(笑)勝山惨殺シーンで鉄棒突っ込んだ後の退場シーン。なんて嬉しそうな顔してるんだ!と。心の底から女をいたぶることを楽しんでる義仙でした。古田義仙はどっちかというと続編の「かくれさと苦界行」の義仙が見たいな。義仙という人物が掘り下げて描かれてるのは続編の方なので。原作読んだ時のイメージだと、神経質そうで細身の大男って印象だったんですが、古田さんの義仙見るともうそれしか浮かばなくなってしまいました。
じゅんさん@宗冬
この人は真面目に演技すると本当にかっこいいんですよ。惚れ惚れしてしまいました。誠一郎に柳生剣を伝授するシーンがなくなってて残念。宗冬ってすごく好きなキャラクターなので、じゅんさんが演じてくれて嬉しかったです。
聖子さん@おばば様
出てきてしばらくは「おばば様のイメージが…」と思ってちょっとショックだったのですが、出番終わるまで見たら「なんて素敵なおばば様だろう!」と。聖子さんも背中が色っぽいですね~。彫り物がまた綺麗で綺麗で。ちょっとお茶目で可愛らしく、どこか神秘的なおばば様でした。
おひょいさん@幻斎
プロンプの声が丸聞こえでした(ははは)。初日だし、まあ仕方ないですよね。70オーバーだし。歌舞伎見てても初日付近は大御所(たまに若手でも)の後ろでプロンプが台詞言いまくってたりするので慣れちゃったせいもあるんでしょうか。甘い?プロンプ、川ちゃん辺りがやってた気がするのですが、声が美声で通るからまた良く聞こえるんだわこれが…。
でも役のイメージとしてはぴったり。流石に殺陣はありませんでしたが、台詞しっかり入ったらかなりいい感じなんじゃないでしょうか。
印象に残ってるのはこの方々くらいかなぁ。後はですね、膳さんが初日から飛ばしまくってたとか、村木姉さんとサンボちゃんがいい役持って行ってたとか、メタルくんのヘタレさが良かったとか、そんな感じですかね。粟根さんは斬られっぷりが素晴らしかったです。久々に逆木さんを拝見できたのも嬉しかった。
とりあえず、色々言ってますが良かったですよ。後半でもう1回見たいかな、やっぱり。
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