吉例顔見世大歌舞伎(夜の部)2005年11月19日 16:30

@歌舞伎座

・日向嶋景清
島流ししておきながらも景清が自分の元へ下るのを信じて待ってる辺り、源氏方も気が長いなぁと。見張りに行かされた部下二名は大変だったねと素で思いました。

・鞍馬山誉鷹
鷹之資くんの改名お披露目演目。もうなんというか場内の空気が温かいことこの上ない。俳優陣の口上に対しての拍手もそうだし、鷹之資くんの一挙一動を見守る視線もほんわかしている。歌舞伎や宝塚とか、先達が新しい人々を育てていく芸能ってのは「見守る」ことも一つの楽しみなんだなと改めて思った。
演目もお披露目にふさわしい感じ。齢六歳にしてきっちりと台詞言ってる鷹之資くんは偉いなと。この子、自分が今どういう立場なのかわかってるんだろうなぁと思うと、己の六歳時を思わず振り返ってしまいました。

・連獅子
染五郎氏の前髪に初っぱな動揺。そうだよな、子獅子だから前髪あるんだよな…。子獅子は柔らかいながらも若々しく荒々しく、親獅子はゆったりしつつも威厳があってよかったんじゃないかなーと思います。幸四郎さんの汗と息が凄くて「お父さんがんばってー!」と本気で思ったりはしましたが…。

・大経師昔暦
後ろにいたお嬢さんたちの反応が楽しかった。「これで終わりなのー!?」って(笑) いや、私もそう思いましたが。歌舞伎の上演形態だとそういうの多いですよね。
しかし、忍んだ方も忍ばれた方も、確認しろよどっちか一人は…とか、言わなきゃバレないんじゃないの?とか、そういう突っ込みはなしなんだろうなぁ。
無茶な頼み事を無茶な相手にすんな!とかね。

ベルリン・トゥ・ブロードウェイ(千秋楽)2005年11月27日 14:00

@ル・テアトル銀座

CAST:
鳳蘭
土居裕子
樹里咲穂
植本潤
藤本隆宏

樹里ちゃん女優デビュー!ということで行って参りました。
ミュージカルというか、ストーリー仕立てのコンサートというか、とにかく不思議な演目。
内容は作曲家クルト・ワイルの生涯を、その時々の代表作に合わせて進行していく…といった所でしょうか。ナビゲーターに鳳蘭さん。そのほかの4名に名前はなく、ソプラノ・アルト・テノール・バリトンという4パートを受け持った4名が様々な役を演じていくという形。途中からじゅねさんがクルト・ワイル役になることが多かったかな。
パンフにあった曲の中では「三文オペラ」くらいしか知らない。しかも曲はわからない。どんな感じなのかドキドキしてましたが、複雑なメロディとハーモニーの楽曲で歌う方は大変だろうなぁと。聞いてる私は結構好きな曲が多くて嬉しかったです。

で、樹里ちゃんです。
いやー、なんというか思ったより「ヅカ歌唱」色が薄くてびっくり(ないわけではないです)。元々男役としては声が高い人だし、音域も高めだったし、何より声潰して歌うタイプじゃなかったからかも。
でも衣裳が土居さんと色違いお揃いとか多かったせいで、フェミニンな雰囲気になるとやっぱりそこはかとない男臭さが…。一番違和感感じなかったのが劇中でブロードウェイスターを演じた曲。超ミニの黒ビニールレザー+フワフワレースのスカートにキャミソール・ショートヘアー・ファーのえりまき・ロングブーツなスタイル。そうだよなー、いっそソプラノ=フェミニン・アルト=マニッシュにしてしまった方が浮かないよなと。
手元にパンフがないので曲名不明ですが、最初のソロ曲のちょっと哀しげな曲はよかった。その後の床掃除の歌は「床掃除の姉ちゃんが云々」という歌詞があったんですが、「樹里ちゃん…それじゃ床掃除の兄ちゃんだよ…」と心の中でそっとつぶやいてしまいました。
もう一カ所印象的だったのは2幕の藤本氏とのダンス。なんと!リフトがあったんです!170cmの樹里ちゃんを183cmの藤本さんがリフト。ぐるぐる回してます。ド迫力です!こればかりは目の前で見たかったなー。大迫力だったに違いない。
ともかく、樹里ちゃんの歌声を思いっきり聞けて嬉しかったです。次は髭つけてルキーニ頑張ってください(笑)

そのほかの出演者さん。
鳳さんはもう、やっぱスターさんだなと。職業・スター。目立つし迫力あるし、ある意味性別を超越したところにいらっしゃると思いました。

土居さん、紅一点(違)な感じで、小さく可愛くコロコロと高い声。綺麗な声で聞いていて気持ちよかったです。ちょっとビブラート気になりましたが。この方がマドモアゼルモーツァルトで「♪どれだけ~泳げば君に会える~」と、てっちゃんの曲を歌ってたのかと感慨深くなりました。来年の「MA」楽しみです。

藤本さん。やっぱり体格がいいので見栄えしますね。とにかく樹里ちゃんとのダンス・リフトにびっくりでした。途中の女装の凄まじさに爆笑。いや、いいもん見せてもらいました(笑)

じゅねさん。カテコでしきりに「素人なんです」と申し訳なさそうでしたが、がんばってらしたと思います。身体のキレが素晴らしくて、動きが本当に綺麗。歌も全然OKでした。どっか一曲くらい樹里ちゃんと男女取り替えたら面白いのにーとか思ってたら、カテコで鳳さんがそんなようなこと言ってて笑いましたよ。

千秋楽ということでキャストからの挨拶も。そして通常カテコが終わった途端、気が抜けたように足開いて立ってる樹里ちゃん(笑)「今あやうく「俺は~」って言いそうになりました」と笑いを取ってましたが、流石にそれはないでしょう。カンパニーの皆様楽しそうでよかったです。でも稽古中は難曲すぎて皆様「クルト・ワイル病」にかかり、精神的に追い込まれてやばかったと…

これから全国まだ公演は続きますが、大千秋楽まで怪我なく、最後まで頑張ってくださいませ。

宝塚歌劇団雪組「DAYTIME HUSTLER」(昼夜)2005年11月30日 11:00

@日本青年館

昼夜見てきました。昼13時開演~のマチソワはともかく、11時開演~始まる昼夜はとても身体によくないということに気づきました。辛いっす。
公演自体はとてもよかった。普通に面白かったし、宝塚的にも楽しかったです。あの辺りは元職場だったのでそれなりに店がわかるので、公演の合間にはおうどんとミニ丼をいただき、午後公演の後は大好きなお店で蟹三昧。公演以外の所でも幸せでした。

内容は箇条書きで感想。
・テーマ曲とOPがとても好きです。いい曲だ。1回見た後の2周目なんか、歌詞とあの明るさでなぜだか涙腺が緩んでしまったよ。
・そのOP、ちょっと不良な高校生が高校生にしか見えないとこがすごい。
・でもローレンス@かしげさん(貴城けい)、シルバーラメのジャケットにストレートジーンズはいかがなものかと。
・あの髪型とちょっといつもと変えたメイクでウインク&投げキスは反則だと思いました。グレー主体のアイシャドー・ノーズシャドーがとてもお似合い。
・「詩人」てなんだろう。ローレンスのあれは詩なのか?ちょっとポエムなエッセーとか、普通に作家とか、作詞家じゃダメだったのか?そもそも今時「詩人」は職業として成立するのか?
・自費出版なのに出版社に売り上げを咎められるのはどうなんだろう。推定15000ドルもかけて作った自費出版。どんな装丁で何部なんだ?それとも口八丁手八丁で出版社の社長だまくらかして印刷費1/3くらい肩代わりさせてるんだろうか。さすがかしげさん。(違)
・図書館に営業に行ってて大事なプレゼンに遅れる教師はいい教師じゃないと思う(笑)
・悪役チームのおじさまたちに惚れ惚れしてしまった。特にアドラー役のナガさん(飛鳥裕)にはうっとり。おじさま好きの血が騒ぎます。
・ロレンツォ@きたろう(緒月遠麻)。やっぱり君が大好きだよ。役そのものの美味しさ以外にも、きちんと演技して、きちんと自分の役作りをしていて感心。歌も結構しっかりしてた。末永くがんばってほしいです。
・消防士はともかく、どうみてもHGはヅカ的スミレコード的にOKなんだろうか。
・つーか消防士コスプレはおよそホストには向かないぞ?防火服とボンベで何十キロの装備だよ。
・そうか…ローリーに似合うのはタキシードか…うん、そうだね。君は正しいよジョニー@らぎ(柊巴)。
・関係ないけどジョニーを連呼されるたびに「素意や!」と踊ってた若かりし頃のあの人の顔が浮かびました。
・バラで白で海軍も大反則です。でもああいう服着せたらほんっとかしちゃん天下一品だと思いました。
・パトリシア@美穂姉さん(美穂圭子)の「スウィート・セブンティーン」に2回ともボロボロ泣いてしまった。歌声であれだけ人の心を捕らえるのは素晴らしい。「やってみたい役=ファンティーヌ」を是非やってほしいです。
・キャロル@涼花リサちゃんが、一歩間違うと下品になる役を可愛らしく演じててよかった。
・ホストスーツで女性陣を落としまくるかしちゃん。かしちゃんが「セクシー」に見える日が来るとは…(感涙)
・一幕終わりの引きは、火曜サスペンスのCM前のようだった。
・2幕の「牢屋越しの二人」を見たら、セットの使い方のせいで脳内にヘリが飛んだ。♪あ~あ~クリース うごけな~い あなたと~いーたーいー~♪と。
・シルヴィア@いづるん(天勢いづる)は、娘役転向1年とは思えないほどの出来で大拍手でしたが、惜しいかなかしちゃんと声が合わない気がしました。
・まいすいーとほーむでいちゃつくバカップルは、ロレンツォじゃなくても「いい加減にしてくれない?」と言いたくなった(笑)
・樽の上に板でテーブルのローリーのセンスがとても好きだ。
・ヘイワード@壮くん(壮一帆)の「崩れても清潔感は無くさない」ってのは素晴らしい才能だと思う。
・私の中でヘイワード役は男がやるなら佐野史朗だと思った。(ごめん)
・ローリーの中でメアリー・アン(大月さゆ)は現実の、苦楽を共にした生身の女だけど、ヘイワードの中の彼女はいつまでも「思い出の中の美しい少女」だったんだろうなぁ。
・だからこそ、本当に愛せたのはキャロルのような「愚かで一途な女」だったのかもしれない。シルヴィアへの愛はやっぱりメアリー・アンの思い出の延長線上にある気もするし。
・あの回想シーンの壮くんの服装は彼女の真骨頂だと思った。爽やかな風。
・洞窟シーン、展開はもうベッタベタで大好きなのですが、いまいち泣き切れなかったのはヘイワードがキレっぱなしだったからかな。個人的好みなんですが、正気と狂気を往復しながら一気に崩れるパターンの演技が好きなんです。
・何故かというと、テンション上がりっぱなし芝居は途中で見てる側のテンションが続かない場合があるのだ…。一瞬落としてはっとさせるのもテクだと思う。
・でもその辺、ローリーかしちゃんが上手く緩和材になっていてバランスよかった。包容力のある演技だったと思う。
・ラストはラブラブモード全開。NYでお幸せに…というか、詩人はNYだと成功できるんだろうかと最後までそこが疑問。
・フィナーレが大好き。いい感じだと思う。
・そのフィナーレで格好良くお辞儀するアドラーナガさんに本気でときめいてしまった、2度とも。

というわけで、とにかくテーマ曲が大好きなわけです。頭の中でぐるぐる回ってます(笑)
全体的に、キャストのバランス(見た目・実力・キャラ)がとてもよかった。そこら辺小池先生のキャスティング力なんでしょうか。エリザであれほど憎かった電飾もいい感じでした。クラブシーンの映像がなんか好きです。
小さい舞台でセットをほとんど変えず、違和感なくあれだけ場面転換してる辺りは拍手ものだと思います。ローリーの最初の衣裳と詩人設定だけどうにかしてくれてたらなぁ。

とにかく、2回見られて良かったです。