BOY FROM OZ2005年06月13日 14:41

@青山劇場

CAST:
坂本昌行
紫吹淳
IZAM
団時朗
今陽子
鳳蘭

1階前方センターという非常に見やすいお席でした。隣のグループがどうもアンサンブルさんか誰かの関係者だったようで後に大変なことに。

感想としては、結論的には良かったです。チケット代の割には照明セットがチープだなとか、アンサンブルに歌えてないのに声出し過ぎでウザいのがいるとか色々突っ込み処はあるんですけど、とにかく主役の坂本さんが出ずっぱり、歌いっぱなし、踊りっぱなしであれだけやってるというそれだけでチケット代分くらいの見る価値があったと思います。1日2公演とかやってるの考えたらほんっと凄い。
そして脇を固める皆さんもそれぞれに良さがあって、見終わった後にとてもいい気持ちになれるステージだと思いました。

印象的だったのはピーターの恋人グレッグが亡くなるシーン。泣かせどころで切ないってのもあるんですが、グレッグの衣裳やステージ上の動きの演出がどうもこう「RENT」の「Without you」と重なってしまいまして…。
3組のカップルがそれぞれの思いをステージの各所で表すシーンなんですが、その中にゲイのカップルであるエンジェルとコリンズという二人がいまして。HIVが発病し、徐々に身体の自由が効かなくなるエンジェルに献身的に尽くすコリンズ。そんなコリンズの気持ちが辛くて拒否しようとするエンジェル、エンジェルの不安ごと抱き留めようとするコリンズ…。その後の「CONTACT」でのエンジェルの魂の叫びのような歌声と、エンジェルを失ったコリンズが悲しみの中で歌う「I'll Cover you」。その辺りがピーターの悲しみにオーバーラップしてしまって、相乗効果で結構泣けてしまいました。
坂本ピーターの悲しみ方がなんというか、演技を感じさせない雰囲気で、素で泣いているように見えて自然に目が潤んでしまった感じです。

で、2幕にお客さんをステージに上げる演出があるのですが、前述のアンサンブルさんの知り合いらしき集団が男子(というには年でしたが)4人組だったんですよ、しかも通路側で。「誰か踊りたい人いる~?」とピーターに声をかけられ、その4人が思いっきり「はーい!」と…。あまりの自己主張の激しさに半ば呆れて他のお客さんに声かけたりしていたピーターも、そのシーンでは既にゲイであることを隠していないので(笑)ピチピチ男子4人を無視するわけもなく、彼らの所へやってきました。つまり私の4席隣にピーターが…!
男子たちもゲイの彼を挑発しようと「すごくいい匂い」「かっこいい!」等アピールしまくり、最後は苦笑いのピーターが「わかった、全員でおいで!何人で来てるの…?」と、声をかけたのですが、その視線の先には何故か私が…。何で?どうして?とポーカーフェイスで動揺してたらですね、どうも服装が問題だったらしく。
私の服装は昼間会社で「コンセプトは真夏のチンピラです」と言って笑いを取った、モダン着物柄風、アジアンテイストな皺加工の入ったシースルーシャツ(黒+赤メイン)にHRCのタンクトップという、隣の男子たちととっても馴染む服装だったんです…。その隣のF嬢が紺のジップアップシャツという堅実な服装だったので、ピーターの中では私までで一集団として区切られてしまったらしいのですね。そこで男子が「5人です!」とか言うからますます動揺(でも顔に動揺が出ないタチなのでポーカーフェイス)していたら、5人目は別な席に座っているということが発覚し、男子4人がステージへ連れて行かれ、私は事なきを得たのでした。いやー、びっくりした~。しかしあの集団の中に組み込まれていたのかと思うとちょっとショック…。後でF嬢に「あなたと私の間に境界線が見えたんだよ」とか言われるし。くそう。

さて、キャスト別。
坂本ピーター。主人公としてのインパクトはあまり強くない感じなのですが、強烈な個性の脇の中心で自然に、普通に板の上にすっと存在していて、それはそれですごいなと。とにかく最初から最後まで歌いっぱなし、踊りっぱなし。いやー、すごい。坂本さんの歌を生で聴くのは多分2000年のV6コン以来じゃないかと思うんですが、声が太くなっていてびっくり。低音が随分響くようになってました。結構声がひっかかってるような所もあったんですが、こんだけ毎日2公演も歌ってたら仕方ないのかなぁと。あ、あと動きがすご~くしなやかで感動しました。だからこそ2幕のゲイ役がはまってたのかな…?楽日まで何事もなく終わって欲しいです。

紫吹ライザ。劇中でライザのショーがあるのですが、総スパンの超ミニ背中丸出しワンピ来てるのに、見てるうちに脳内で黒燕尾に変換されてました…ごめんなさい。だってあまりに男前で。歌も興が乗ってくると段々男役風味になってくるし…。曲後半の盛り上がり方は正に宝塚なショーっぽくて、ああ、黒燕尾からフィナーレの衣裳に着替えたのね~みたいな。
実際のライザ・ミネリがどんなキャラクターだったか私は存じないのですが、とってもサバサバした男前のお姉さんでした。ただ、ピーターと上手く行かなかったことに関して(この劇中の場合は)「そうね…性転換したばかりの女とゲイじゃ親友以上にはなれないわよね」と納得してしまったのが果たしていいのか悪いのか。
でもとにかくリカさんは格好良くて輝いてて素敵でした。

鳳ジュディ。やっぱり「スター」なんだなと。圧倒的な存在感です。劇中で亡くなった後にピーターが歌う歌を彼女が途中から引き継ぐのですが、その歌声が圧巻でした。笑いを取るタイミングも絶妙だし、うん、「スター」です。

IZAMグレッグ。うーん、不思議な存在感だった。歌は正直ちょっと…だったし、特別演技がいいわけでもないし、でも印象に残ったなぁ。決して多くない出番の中で印象に残らなかったらアウトな役だと思うし、良かったんじゃないでしょうか。でもデュエットはもうちょい美しいハーモニー聞きたかったです…。

今ママ。彼女の最後の歌が一番泣けました。素晴らしかった。

あと、リトルピーター&ヤングピーターのタップが凄すぎでした。リトルピーターは歌も上手いしびっくりです。よく見つけたなぁ。

最後のサンバなステージ見て「ああ、ミュージカル一本物・フィナーレショー付」だったのねと。ダルマのロケット出てくるし、羽根背負った姉さん出てくるし、しまいには大階段もどき(笑)いや、楽しかったです。
ピーターの生涯は幸せだったのかな…とか色々考えつつ、会場を後にしました。扱ってるテーマに「RENT」に共通する物が多かったせいか、私は入り込みやすかったです。もうちょっとチケ代安かったらもう一回見たかったなぁ。

終演後、ロビーで「プロデューサーズ」の特別予約受付をやってました。1階前方確約ということでうっかり申込み。でもこれで岡さん見られるの確定だからいいや(笑)長野くんは歌上手くなったのかな…