東宝ミュージカル「エリザベート」(初日)2005年09月01日 14:31

@帝国劇場

CAST(Wキャストのみ):
トート  内野聖陽
フランツ 石川禅
ルドルフ 浦井健治
ちびルド 塩野魁土

昨年12月の大千秋楽以来の「エリザベート」です。
客席全体のワクワク感は伝わってきますが、レミゼのSP公演のような緊張感はなかった気がする。(あれは異常だったからな…)
お席は2階A列のサブセンターでした。見ながら妙に視点が新鮮だなーと思ってたら、帝劇でエリザを2階から見るのは初めてだったんですよ。全体が良く見渡せていい感じでした。

細かい変更点も結構あったように思うのですが、一番大きいのは「LED電飾がなくなった」ことです!悪評高かった電飾。間抜け以外の何者でもなかった電飾がとうとうなくなりました。で、替わりに羊皮紙のようなデザインのスクリーンにプロジェクターで映像が映るのですが、これは結構いい感じ。でもシシィ落下はどうしてもアップの映像で見せたいんですね小池先生…。バートイシュルの鹿も消えました。
個人的にはいいと思うんですが、これどうも一番奥のバトンに吊ってあるらしく、いらん場面でも出てくるんですよ。スクリーンには何も映ってないのに。一番「勘弁してくれよ」と思ったのが「私が踊るとき」。星球が輝く壮大なイメージが好きだったのに、何故か星球の後ろに何も映ってない巨大羊皮紙。なんなんだー!他にも何カ所か「しまっとけよ!」ってところがあったんですが、前に何かが降りて隠すことはあってもあれ自体が昇降することはなかったように思うので、吊りっぱなしで動かせない物なのかなと。もうちょいどーにかしてほしい。そしてアレが降りてると、形状のせいかどうも舞台の上下にスカスカ感が。ううむ。
霊廟(?)3棟の使い方も結構変わってました。こっちの変更部分は概ねいい感じ。センターのやつは電飾パネルの扉が変わった分、センターの捌け口として使われてることが多くなってたと思います。
それから指揮者が塩田さんじゃなかったせいか、テンポがめちゃくちゃ遅く感じました。キャストも一部待ち気味なとこがあったように思うのは気のせいかなぁ。

出演者に関して。
一路さんは相変わらず可愛く綺麗でした。少女時代なんか本当に可愛いと思う。初日からいい感じに飛ばしてたように思います。感情の入り方とか、テンションの上げ方は去年の大阪に引けを取ってなかったと思う。あ、「私が踊る時」で「♪人形のように踊らされた私が~」を「♪操り人形のように~」と歌って一瞬モゴってらっしゃいました(笑)でもあれはその前に内野さんが「♪世界は動いていくんだ~」を2回歌ったせいで動揺したのでしょう…。

内野トート。昨年の大阪よりもさらに歌が上手くなっていたように思います。一部怪しいなぁってとこは歌い方を微妙に変えてたような。きっとまた何かに挑戦しようとしてるのでしょう。鬘がやたら「お風呂上がり」っぽくしめった感じになってたのは気のせいだろうか。「最後のダンス」の「♪お~~れぇぇぇ…」で客席の心は一つになっていたと思う(笑)「♪さぁ~~ハ~~~(↑)」が決まった後に、周りの人がみんな頷きながら拍手してたのが笑えました。

高嶋ルキーニ。まだテンションマックスじゃない感じ?客席降りが増えたり、立ち位置が変わってたりと段取り追う部分が多かったのかなぁ。でも安定してます。

石川フランツ。出てきた瞬間「若返ってる!」とびっくり。マリウス効果かしら…心なしか顎の辺りがすっきりしてたような。青年フランツ~老年期まで、自然に加齢していく辺り、素晴らしかったです。スカステでやった「フランツ対談」で「夜のボートでは「僕はこの人をこんなにも不幸にしてしまったのか…」という気持ちで歌ってます」と仰っていたのを聞いて、フランツの表情を双眼鏡で追っていたのですが、切ない表情をなさってたんですね…。そこから「悪夢」での激しさ、ルキーニに刺された瞬間に自分も胸を押さえる演技(これは大阪でもやってましたね)と、禅さんにやられっぱなしでした。でも今年禅フランツは12 日が見納め…しまったなぁ。

新ゾフィー様の寿ひづるさん。出てきた瞬間「あ、男だ」と(笑)元男役の方なせいか、ドレスの裾捌きが結構豪快だったように思います。でもお歌の方がド迫力!あれはフランツ逆らえまい…正に「宮廷でただ一人の男」です。やっぱり段取り追ってるな~的な所はありましたが(「♪我慢できない!」の「我慢」が飛んじゃったし)、このゾフィー様は大好きです。次回の12日にはもっと深まって、もっとかっちょいい皇太后様になってらっしゃると思います。

浦井ルド・藤本エルマー・塩野チビルドは、皆さんお歌が本当に上手くなってらして驚きました。特に藤本エルマーは前回見たときほとんど印象に残ってないのですが、今回は色んなところで声が耳に飛び込んできて良かったです。
浦井ルドは相変わらずジャンプの到達点が高く、きびきびしていてアンサンブルでも目立ってました(笑)表情がとてもしっかりして、印象的になっていたように思います。死のキスが初日からやたらに長くてお疲れ様でした…。うっとりと死んでいくルドルフなのは相変わらずというか、パワーアップ(笑)
塩野くんはまず、見た目が大きくなっていてびっくり。歌い出してその安定っぷりにまたびっくり。演技も細かくなってたなぁ。子どもの成長って早い。

終演後は初日の舞台挨拶。皇后様が「固まったカンパニーに入ってくると言うことで、稽古も短くて本当に苦労されたと思います」と、寿さんと新アンサンブルの家塚さんを紹介してました。そういえばカテコで寿さんへの拍手が一番大きかった気がします。客席もリピーターが多いからわかってるんですね~。しかし M!から20人くらい参加ってすごいな…。
続いて小池先生登場。そしてM!の千秋楽からずっと滞在中だったというリーヴァイ氏が、60歳のお誕生日にプレゼントされたというM!のロゴ入り赤ちゃんちゃんこと帽子で登場。「これには仕掛けがあります」と舞台上でちゃんちゃんこと帽子を裏返すと…なんと黒になったちゃんちゃんこにはエリザのロゴ。そして帽子までリバーシブルでした。芸が細かい!
リーヴァイ氏は本当に日本のカンパニーと、多分独特の客席のムードを愛してくれてるんだなというのが伝わってくるようなご機嫌さでした。キッチュ終わりのルキーニの「わ~~~~パンパンパン!」という拍手止めもやってみてたり。

次回観劇は12日。今度は山口トートとパクルドです。また違った雰囲気になるのがとても楽しみ。

劇団☆新感線「吉原御免状」(初日)2005年09月08日 15:15

@青山劇場

なんとか間に合うように会場に着いて、座席へ。なんとXC列センターブロック!
座った瞬間に同行のY嬢と「やったわ!思ったほど舞台高くない!」。だって前に新感線で最前列座ったときは首痛くて悲惨だったんだもの…。ぼーっとチラシを眺めていると「メタルマクベス」の仮チラが。上條恒彦さん出るのか!(そこかよ)

というわけで、以下舞台原作入り乱れてのネタバレしまくりです。



とりあえずですね、終わって一番に思ったのが「これは歌舞伎座で歌舞伎で見たい」でした。セットの使い方が盆回し→止まったところで上下にかきわり背景設置という歌舞伎パターンだったせいかな。それからですね、これが一番の理由なんですが勝山=玉さん、高尾=福助さんで見たいんですよ。
初っぱなの花魁道中がすれ違うシーン見て、去年の海老蔵襲名の「助六」を思い出してしまったわけです。「では揚巻さん」「では白玉さん」て二人で捌けていくあのシーンですよ。
実現してくれないかなぁ。回り盆の奥から坂道を降りてくる福助@高尾に、「勝山太夫だー!」の声で鳥屋口が「シャリーン」と鳴って花道を進んでくる玉三郎@勝山。美しー!絶対うっとりですよ。で、二人して見栄切るわけです。見たい…見たいぞー。

まあ、それはともかく。原作の世界を良く具現化したなーと思いました。綺麗なセットにセンターの坂道が効いてます。盆回しで転換してく辺りちょっとレミゼちっくというか。照明も綺麗だったなぁ。ただ、セット転換してる人たちがあまりにも(センターブロックにいるのに)丸見えだったのがなんとも。起きあがる死体が丸見えだったし、そこら辺も歌舞伎テイスト?
今回曲がものすごく良かった。新感線で初めてサントラ買ってしまったです。しかしサントラは正面ロビーでは販売してないので、購入したい方はご注意あれ。

キャスト。
堤さん@誠一郎
ものすごく主観なんですが…と前置き。
堤さんが誠さんをやるならこうなるんだろうな…と予想した通りの誠一郎だった。でもなんというかなぁ。原作ファンだからってのは置いておいても、勝山みたいな人が命がけで惚れ込むタイプには見えないんだよなー。「陽」すぎるというか、曇りない青空すぎるというか。町娘には大人気になりそうだけど、遊郭で太夫が本気になる人には見えないというか。
よくある台詞で「なんて澄んだ目をしているのかしら…それなのになんだか寂しそう」みたいなのがありますが、誠一郎ってそういう人だと思うんですよ。でも堤さんの誠一郎からはそういうのが見えない。
誠一郎は親に棄てられたということを深い傷として持っている人で、それが「捨て子ではなかった」と知った瞬間にボロボロ泣いて嬉しがるシーンが原作ではあるんですよ。けど、舞台ではそこを結構さらっと流してしまった。このシーンは誠一郎の象徴的なシーンだと思うんですが、敢えて流したってことは誠一郎のキャラ作りを原作とは違う形で持ってきたのかなーなんて思ってみたり。
つっつん誠さんは最初からすごく人間くさくて、田舎から出てきたボウヤって感じで、人情家な雰囲気。だから最後の義仙の「やっと人間らしくなってきた」という台詞が響いてこない。その代わり自分の憎しみや怒りで人を斬った後の誠一郎の「俺の中にも鬼がいた」という台詞はズンときた。
今回凄く良かったのはそのシーンと、おばばさまの夢の中のヤング幻斎。このキャラクターは合ってた。生き生きしててとっても魅力的な幻斎だったと思う。でも誠一郎になるとどうも違和感があって。タイプ的に誠一郎の師である武蔵なんかのがイメージできたかも。「見守り」タイプなのかなぁ。
違和感の原因を考えてみたんだけど、「若作り」しすぎなんじゃないかなって。声とか表情とか。当時の25歳って若いかもしれないけど「ガキ」じゃない。童貞だったのはウブだからじゃなくて、山の生活の中で女の存在がなかったから。逆に大人びた部分があってもいいんじゃないかなーと思うわけです。
で、ふと思ったのがこういう「素朴・真っ直ぐ」な持ち味の人が義仙やったら古田義仙とは別な意味で怖いんじゃないかなと。全く疑いがなく、真っ直ぐに悪。一つの捻れもない、正義のような悪。それはそれで見てみたいねとY嬢と話しておりました。
しかし、殺陣が美しかったなー。刀振る腕の筋肉や、腰を落とした時の筋肉がもんのすごく綺麗!なんせあの距離だもんで、目の前に座って足開いてくれるわ、目の前で褌一丁姿が見えるわ、褌どころか胸板の間を流れる汗まで見えてドキドキですよ。堪能させていただきました。

松雪さん@勝山
もうね、出てきた瞬間「うわー!勝山だ!」と。艶やかさといい、背負っている哀しい雰囲気といい、ぴったりはまり役。勝山は惨殺されてしまう人なので、あの惨い最後をどこまでやるかと思ったらきっちりやってて「うわ~」と。(流石に胸は見せませんでしたが)「主さんに…惚れんした」ってシーンには思わず泣けてしまいました。もっと回数重ねて、気持ちが乗ってきたらどうなっちゃうんだろうとドキドキします。

京野さん@高尾
最初このキャスティングには微妙に「うーん」と思ったんですが、松雪さんの勝山に対しての高尾ならアリなのかなと。声に迫力がないのは残念でしたが、「大奥」やってたせいか、意外に着物も着こなしてていい感じ。ただ、あの微妙な日本舞踊もどきはなくても良かったんじゃないかなぁ。
誠さんとのシーンで思いっきり上半身脱いでいて、どきっとしてしまいました。高尾はいいシーンが結構カットされてて、彼女の気持ちが伝わりにくい部分はあったと思いますが、美しくも優しげな表情で勝山と上手く対比になってた感じです。楽日近くにはかなり変わるんじゃないかなぁ。

古田さん@義仙
悪役楽しそうで何よりでした(笑)勝山惨殺シーンで鉄棒突っ込んだ後の退場シーン。なんて嬉しそうな顔してるんだ!と。心の底から女をいたぶることを楽しんでる義仙でした。古田義仙はどっちかというと続編の「かくれさと苦界行」の義仙が見たいな。義仙という人物が掘り下げて描かれてるのは続編の方なので。原作読んだ時のイメージだと、神経質そうで細身の大男って印象だったんですが、古田さんの義仙見るともうそれしか浮かばなくなってしまいました。

じゅんさん@宗冬
この人は真面目に演技すると本当にかっこいいんですよ。惚れ惚れしてしまいました。誠一郎に柳生剣を伝授するシーンがなくなってて残念。宗冬ってすごく好きなキャラクターなので、じゅんさんが演じてくれて嬉しかったです。

聖子さん@おばば様
出てきてしばらくは「おばば様のイメージが…」と思ってちょっとショックだったのですが、出番終わるまで見たら「なんて素敵なおばば様だろう!」と。聖子さんも背中が色っぽいですね~。彫り物がまた綺麗で綺麗で。ちょっとお茶目で可愛らしく、どこか神秘的なおばば様でした。

おひょいさん@幻斎
プロンプの声が丸聞こえでした(ははは)。初日だし、まあ仕方ないですよね。70オーバーだし。歌舞伎見てても初日付近は大御所(たまに若手でも)の後ろでプロンプが台詞言いまくってたりするので慣れちゃったせいもあるんでしょうか。甘い?プロンプ、川ちゃん辺りがやってた気がするのですが、声が美声で通るからまた良く聞こえるんだわこれが…。
でも役のイメージとしてはぴったり。流石に殺陣はありませんでしたが、台詞しっかり入ったらかなりいい感じなんじゃないでしょうか。

印象に残ってるのはこの方々くらいかなぁ。後はですね、膳さんが初日から飛ばしまくってたとか、村木姉さんとサンボちゃんがいい役持って行ってたとか、メタルくんのヘタレさが良かったとか、そんな感じですかね。粟根さんは斬られっぷりが素晴らしかったです。久々に逆木さんを拝見できたのも嬉しかった。

とりあえず、色々言ってますが良かったですよ。後半でもう1回見たいかな、やっぱり。

東宝ミュージカル「エリザベート」(ソワレ)2005年09月12日 16:16

@帝国劇場

CAST(Wキャストのみ):
トート  山口祐一郎
フランツ 石川禅
ルドルフ パク・トンハ
ちびルド 苫篠和馬

今期初にして最後の山口トート&パクルド。そして見納めの禅フランツでした。
山口さん、久々に見ると「大きい!」とびっくり。同じゴンドラに乗って降りてくるのに縮尺が違って見える。ついでにシシィもものすご~く小さく見える。それからちょっとお痩せになりました?なんかウエストの辺り随分ほっそりとしたような…。
実は昨日の公演、山口さんの調子があまり良くなかったようで、なんでもない部分で音程が揺れたところがあって「え?山口さんが?」と思ったんですよ。他の感想とか読んでても最後のダンスの最高音ひっくり返った日があるそうで、本当にびっくり。でも、考えてみれば山口さんのスケジュールとんでもないですよね…?お痩せになった様子なのも相まって、ものすごくファンなわけじゃないですが心配になってしまいました。ゆっくり休む期間を取ってほしいなぁ。ミュージカル界にとって大事な人だし。
個人的にはラストの「♪誰も知らない真実~エリ~ザベ~ト」のナイフダンスが健在だったのが嬉しかったです(笑)なんかね、すごく楽しそうにパラパラちっくなダンスをしてる閣下が好きなんですよ。
しっかし、本当に方向性が真逆の閣下二人だなぁと改めて感心。いいWキャストだ。

パクルド。
えっと…太りました?いや、もしかして上半身大きくしてマッチョになったのかなーと思ったのですが、それにしては身体がキレてないなぁと。ダンスや動きがもの凄く重そうだった。
でもでも!パクさんのルドルフはやっぱり骨太で、大人な雰囲気で好きです。それから「マイヤーリンク」で女装のトートダンサー(=マリー・ヴェッツェラって設定なんですね。驚いた)に向かって一瞬救いを求めるように手を差し伸べる所がなんとも切なかった。相変わらずの汗っかきさんで上着脱いだらシャツがべったりと張り付いててちょっとセクシー(笑)
「父を説得することができなかった」という台詞が去年よりも言えてなかったので、そこはもうちょっと頑張ってほしいです…。

チビルドの苫篠くん。
先日の塩野くんと比べるとまだまだ本当に子どもっぽくて、可愛らしい。子どもの本能で母親を求めている感じで可哀想だったな。
イメージ的に塩野くん=パクさん、苫篠くん=浦井さんの子ども時代って感じでした。

見納めの禅さん。素敵な陛下でしたー!やっぱり「悪夢」の演技が好き。他のシーンも細かい演技をしていて見応えがありました。フランツ陛下を見ていると、禅さんのバルジャンが見たくなります。今回もう見られないのが本当に残念。もっと見たかった。

寿さんはだいぶスムーズになってきた感じですね。この皇太后様大好きです。自分を殺して王家の為に生きてきた女性って感じ。自分の育てた息子の代で、自分が全てを捧げた王家が滅ぶのは切ないだろうなぁ。

新セットになって後ろで誘導している懐中電灯の揺らめきや人影がすごく気になるようになりました。M!でも気になって仕方なかったんだけど、あれはどうにかならないのかなぁ…。

さて、次回は井上ルドルフの初日です。楽しみだな~!

春野寿美礼コンサート「I GOT MUSIC」(東京初日)2005年09月18日 16:00

@昭和女子大学人見記念講堂

東京初日だったそうで、えらい盛り上がり。
そして単純に楽しかった!もの凄く楽しかったぞ~。

1幕はストーリー仕立て。何もない舞台上にオーケストラのメンバーがが揃い、いざ指揮者がタクトを上げると「あの~…パーカッションがいません!」という声。そこに「すいません!いや~、車が遅れちゃって…すいませんすいません!」と客席後方からやってくるのは…「遅いぞ長田くん!」そうです。オサちゃんこと花組トップスター春野寿美礼さんでした(笑)
ふうふう言いながら支度をしてちゃんとティンパニ叩いてシンバル叩いて、叩いた勢いでステージ裏に落ちる長田くん。やってくる救急車。目を覚ました長田くんは気づくと「おとめいかい(音冥界だっけ?)」というミュージシャンが志半ばで倒れたときに行く世界とかそんな感じ?(記憶あやふや)一流のミュージシャンになるために必要なリハビリをしましょう!…と、クラリネット吹いたりブラストやったり、サンバ踊ったり色々して、最後は恥ずかしくて口もきけなかった憧れのピアニスト(桜乃彩音ちゃん)にちょっとだけ自信が芽生えた表情で話しかけにいって1幕エンド。
ストレッチャーに縛り付けられ、謎の白衣軍団に翻弄される長田くん。「君はリズム感がない!」と下級生に言われてしょんぼりする長田くん。かわいー!超かわいー!全体的に漂うヘタレ感と生活感がたまらないというかなんというか。
ていうかですね、私的オサちゃんのイメージがもの凄い勢いで上書きですよ。どっちかっつーとナルシスト低体温系な人だと思ってたんですが、なんですかあの熱量!やっぱりエンターザレビューの「アタシすみれちゃん」で何かが壊れてしまったんだろうか。なんだか感情表現が豊か。よく笑ってご機嫌なオサちゃん。いやー、なんか素敵。マジ素敵。
指揮者が塩田さんでびっくらこいたんですが、塩ちゃんもノリノリですよ。ステップまで踏んで踊ってらっしゃる(笑)

二幕は普通のコンサート形式で、平井堅歌ったりゴスペラーズ歌ったり、トゥーランドット歌ったり、X-JAPAN歌ったり(Forever LoveよりSay anithingが聞きたかったです)、ハウトゥーサクシードにエリザベートメドレー。その合間のトークでも照れたり笑ったり。下級生に「オサさんコンサート始まってから若いですよ!若い!若い!」とコールされてニッコニコになってたり。こんなに人間くさい人だっけ?とそのたびに目から鱗がボロボロです。

そんなこんなであっという間のコンサート。とにかくとにかく楽しい!やってる本人たちが楽しんでるのが伝わってくるし、客席が楽しんでるのも伝わってる感じ。
目当ての一つだったみわっち(愛音羽麗)との「闇が広がる」も良かったんですが、スーツ姿で踊った「最後のダンス」も良かった。オリジナルの曲も印象的だったし、オサちゃんてすごいなぁと素直に思ってしまいましたです。

私的誤算その1。
そのか(桐生園加)の野郎臭さにやられてしまった…。似てると言われてるケロさん(汐美真帆)はさほどツボに来なかったのになんだこれは。踊ってるとこがかっこいいねぇ。パンフの写真がまた素敵でしたわ。どうでもいいですが最近気になるジェンヌさんが未来優希・蘭寿とむ・桐生園加ってなんだそれ。好みの方向がわかりやすすぎるじゃないか自分…。

私的誤算その2。
ハウトゥーサクシードメドレーが聞こえてきたときに、「ああ。この曲樹里ちゃんのサヨナラショーでやったっけなぁ」と思った瞬間、涙出てきましたよ。自分でびっくりしたわい。そんなに追いつめられてるのか私。

まあ、それはおいといて。花男たちには伊達という言葉が良く似合います。最後の黒燕尾勢揃いも格好良かった。娘役さんたちもみんな可愛らしかった。色んな事に挑戦したせいか、終わった後はほっとした笑顔が達成感に満ちあふれてて、こっちまで嬉しくなったよ。
カーテンコールの終わりの方で客席からかかった「オサちゃん愛してるー!」の声に満面の笑顔で「あたしも愛してるよー!」と叫ぶオサちゃんがなんだか印象的でした。

宝塚歌劇団花組「Ernest in Love」(昼・夜)2005年09月19日 14:47

@日生劇場

11:00の公演と15:30の公演を連続で見てきました。
泣いても笑ってもこれで「宝塚」の樹里ちゃんを見るのは最後です。しっかり目に焼き付けようと気合いを入れて見ました。

11:00の回は1階後方センター。15:30は2階A列上手側でした。どちらも良く見えていい感じです。
まず場内アナウンス聞いて感慨ひとしお。だってバウじゃなくてこんなに大きいホールの公演で「宝塚歌劇団、専科の樹里咲穂です」ってアナウンスを聞けるなんて…(ほろり)
オーバーチュアーの曲調がとても好みだったので本編への期待も一気に高まりました。

アルジャーノン(蘭寿とむ)の執事・レイン(高翔みず希)の進行で舞台は進みます。早々に出てくるパジャマに寝癖頭の蘭とむくんがかわゆい。
いよいよ登場したアーネスト(樹里咲穂)。登場と同時にもの凄い拍手でちょっと嬉しかった。

ストーリー自体はとにかく楽しく、笑えて、ちょっとほろりとするラブコメディで、大ハッピーエンドで終わるのがとても楽しくてですね。メインキャストがみんな芸達者なので安心して見ていられましたね。
11:00の公演ではソファーに座った蘭とむくんが足を組もうとした途端に「ガッ」とテーブルにぶつけまして。「大丈夫か?」と笑いながら訪ねるアーネストに、「足が長いからね」としゃらっと答えるアルジャノンが素敵でした。樹里ちゃん台詞出てこなくて、足もてあましてる蘭とむくんに「組むなら組めば?」とか言ってるし。
15:30は阪急交通の貸切公演。司会がなんと、元宙組で樹里ちゃんの同期の稜あきのさん。貸切恒例の舞台挨拶時の空気がびみょ~な感じでした。二人ともよく知ってるだけにやりにくそうだったなぁ(笑)

主演の樹里ちゃんは緩急自在で、笑わせるのも泣かせるのも自由自在に観客操ってる感じ。間がいいんだな。何よりも舞台を楽しんでる空気と退団オーラでもの凄く綺麗で格好良く、キラキラしてる。こんな風に当たり前にセンターに立てる人だったんだなぁと、贔屓の引き倒しと言われようがなんだろうが改めて惚れ直してしまいました。全身でじたばただだっ子してみたり、あすかとでれでれしてたり、最後にきっちり泣かせてくれたりと全く隙なし。
どうでもいいですがキャトルに言ったら前掛け+ベビー帽子+ガラガラの三点セットの舞台写真が売られていたんですが、あれは樹里ちゃんだから許される写真だよな…あさこちゃんでもあったのかしら?

その樹里ちゃんとがっぷり組んでお芝居の蘭とむくん。クールな外見とちょっと抜けた、いかにもお気楽貴族のぼんぼん風の表情とがいい感じでマッチしていて良かったです。キュウリサンド全部食べちゃったり、必死で考えて苦悩するアーネストの歌への合いの手が「美味い」だけだったり、いいキャラだなぁ。真剣な顔で頬に手を当てて「もしかして、今僕照れてる?」とか。それから一花ちゃんとの身長差がいい感じ。実は結構歌声好きです。

あすかちゃんはとにかく綺麗!美し~。でもアーネストとでれでれして乙女の表情になっちゃうとこもグー。こちらも一花ちゃんとの身長差がいい感じで、二人のデュエットシーンではほわんとしてしまいました。ほんっと綺麗な娘役さんだよなぁ。そしてこの前までイヴェットやってた人には見えないよ。役者ってすごい。

一花ちゃん。とにかく「小さなセシリィ」って役名がぴったり。多少電波入った…もとい、夢見がちなお嬢さんでしたが、彼女がやると「可愛いわぁ」の一言で問題なし。歌もしっかりと緩急付けて頑張ってたし、愛らしかったです。

出雲のタキさんのど迫力も素晴らしく「♪鞄は母親ではない 母親といえない」という曲が未だにグルグル頭の中回ってます…。相変わらずの美声、素晴らしゅうございました。

というわけで、本編は笑い転げてハッピーに終わったんですが、デュエットダンスで樹里ちゃん登場した途端に緩む涙腺。だって…だってさー、あれはトップさんの出方なんだもの!一番いい衣裳着せてもらって、ずっとコンビだったあすかと組んで二人だけでデュエットですよ?(いやもちろん後半では蘭とむくんと一花ちゃん出てきましたが)フィナーレの登場の仕方もあすかまでで区切って、みんなが樹里ちゃんを迎えてくれるあの出方。なんだか感慨深くなってしまってね。「ファン歴短い私でもこうなんだから、もっと長くからのファンの方は…」と思っていたら、そこここでハンカチで目頭を押さえる人々が。
前回の花組公演でもとてもいい場面と曲をいただいて、ショーではほぼWトップな扱いしてもらって、素敵なサヨナラショーして、大拍手で送られて、最後はこんなに素敵な演目を主演で退団できる樹里ちゃんは本当に幸せな人で、私たちは幸せなファンなんだなと改めて思った次第です。
まあ、11月に女優デビューした2ヶ月後にはヒゲつけてルキーニで男役復帰なわけですが(笑)

とにかく、樹里ちゃんが楽しそうで良かった。幸せそうで良かった。
それだけです。