東宝ミュージカル「ミス・サイゴン」(プレビュー公演)2004年08月13日 13:29

@帝国劇場

CAST:
エンジニア 筧利夫
キム    新妻聖子
クリス   石井一孝
ジョン   今井清隆
エレン   高橋由美子
トゥイ   tekkan
ジジ    杵鞭麻衣

というわけで、いよいよ開幕したサイゴン。ほんっと前日からドキドキして帝劇に行ってまいりました。

場内に入るとサイゴングッズが色々販売中。パンフ・ジョッキ・携帯ストラップ・ミニ三面鏡・携帯用ガードシール・Tシャツ…くらいかな?ガードシールは今ちょうどないのでちょっと欲しいかも。パンフは初版(舞台写真なし)で1500円。舞台写真入りは9月発売だそうです。

客席に入ると墨絵のような緞帳。よく見ると戦火で焼かれたサイゴンの光景。このミュージカルの背景にある時代とその重さを改めて感じながらそれを見つめていると、聞えてくるヘリの音。そして序曲。
事前にCDで2回くらい(あんまり回数聞くとその印象が残ってしまうので)通して予習をしていたんだけど、序曲のキラキラとした始まりがとてもインパクトがあって好きだったんですが、あれはサイゴンの朝をイメージしていたんですね。緞帳に映る朝日、行き交う市民たち、そして兵士の出現で逃げまどう彼ら。
そこにいきなり「みなさ~ん!新人が入りました~」と聞きなれた声。そうそう、エンジニアはほんっとに初っぱなからの出演なんですよね。

筧さんの歌は想像以上に良くてびっくり!さすがにストレートプレイで鍛えてるだけあって声量はあるし、高音も奇麗に出てる。ビブラートのかけかたも「覚えたて」という感じはしなかった。正直、もっと絶望的なものを想像していたので(苦笑)これは予想外!と期待。
しかし、落とし穴は思わぬところに。「♪オレの腕前見てろよ」の辺りで音程がビミョ~になって、「これは…もしかして…」と思ったのですが、その後の歌で確信。筧さん、高音は出るけど低音がまるで駄目です……。テンポが落ちれば「♪まるで花嫁だ」はギリギリ出るけど、その後の「♪生娘は高い」のキーになると全然ダメ。低音は音程外れっぱなしです。
とにかく同じ音程でダダダダっと歌ってしまえば多少ごまかしはきくので高音部がひっくり返ったときみたいな「ずっこけ」はないんですが、これは正直厳しい。エンジニアは結構このキーが多いので、期待→一気にハラハラドキドキへ。以後筧さんが出てくる度に「初ミュージカル」を見守るファン心理も伴って手に汗を握ることに。この感覚はエリザ初演で内野トートを見たときに似ている(笑・でも正直あの段階のうっちーよりは歌えて(以下検閲削除))

そして「ウェルカムトゥ~ドリームランドっ!」の声で「火がついたサイゴン」。
今井さんのジョンが歌い始めた瞬間に「あ、バルジャン残ってる?」(笑)だって…なんとなく体形や歌い方が…。でも見た目はものすごくアメリカ人(というか欧米人)に見える。
しかし筧エンジニア、高音部分の声は目立つなー。大勢の声の中でも聞き分けてしまったのは私が筧ヲタだからかしら。
石井さんは完全に初見。写真で見てV6の坂本くんに似てるなーと思ってたんですが、生で見ても似てました。心なしか声も似てる気がする。坂本くんの声が好きな私は彼の声もとても気に入りました。石井クリス、期待です。
そして新妻キム。筧さんとは逆に低音部分でとても迫力のある声ですね。高音もしっかりと地声で歌えてて、こんなに上手い人だと思ってなかったのでびっくりしました。
しかし他のエンジニアやキャストに比べてかなり小さめの筧さん。ストレートプレイと同じように絶対に普通に歩いてない。ステップを踏むようにちょこちょこと小さいのが動き回ってて、アンサンブルに埋もれててもあの大きな顔が目立つ目立つ。(褒めてます)

一曲づつ感想書いてるときりがないのでそれはまた今後のレポの中で触れるとして、一幕で印象的だったのは、まず「この金は君のもの」でのキムの「♪身の上話聞きたいの~」のくだりかな。新妻さんの激しい歌い方にとても迫力があって、後でパンフを読んだら「キムの重要な要素」に「激しさ」を挙げていたのでとても納得。全体を通して彼女のキムは怒りや悲しみといった激しい感情がとても印象的で良く伝わってきた。逆にクリスとの二人のシーンでの喜びやなんかは伝わりにくかった気がする。

サイゴン陥落後はストーリーも一気に進む。出世したトゥイからキムの捜索を言いつけられるエンジニア。調子の良さと計算高さを使い分けて巧みに立ち回るエンジニア、どこまで行っても直球にしか生きられないキム、ベトナムでの経験と帰国後の周囲からの蔑みでPTSDに苦しむクリス、それを見守るエレン。
そう「I still believe」での高橋エレンの歌声は良かったなぁ。包み込むような雰囲気があって、CDで聞いたときはクリスはキムを忘れてエレンに逃げたように感じたんだけど、彼女の歌を聞いていると何故クリスがエレンを選んだのかが納得できてしまった。クリス・エレンとキムが上下に同時に存在してるあの演出が切なさを増幅してる。
「生き延びたけりゃ」辺りは筧さんの本領発揮。隠してた財産(?)を掘り出してる姿の辺りはものすごく「らしい」なと。「おじちゃんにキスを」でほっぺにチュッってしたタムが直後に口を袖口でごしごし拭いてる姿に客席大爆笑でした。
そして「命をあげよう」。この曲は新妻さんの迫力のある低音にものすごくハマっていて、彼女のキムの曲の中で一番良かったと思う。

二幕。
今井さんの「ブイ・ドイ」は良かったんだけど、CDでこの曲を最初に聞いたときほどの衝撃はなかった。レミコンの時よりも声が出てなかった?それとも帝劇の音響が悪いせいかなぁ。すんごい期待しすぎちゃったのだろうか。むむ。
二幕はストーリーを追うのに精一杯な部分があって、実はあんまり細かく覚えてなかったりします。でもとにかく圧巻だったのはホテルでの「告白」。ここの石井クリスの歌声は、歌というより彼の心の悲鳴・叫びのようで泣けて泣けて仕方なかった。一幕の「I still blieve」とこの「告白」でエレンとクリスの3年間が垣間見えてしまって、この後のキムの悲劇も「酷い男だクリス!」とは思えなくなってしまったり。CDで聞いたときには「クリスひでー」と思ったんですが、やっぱり舞台は生で見ないとダメなんですね。とにかくここの石井さんは素晴らしいの一言に尽きます。石井さんにかなりハマったかもしれない。

そして「アメリカン・ドリーム」。これは良かった。この曲を納得できるように歌ってくれた筧さんには拍手。キャデラックに乗るシーンは他のキャストで見た写真だとカッコつけて座ってるんだけど、筧さんは小ささを活かして(笑)べったりとボンネットに大の字で貼り付いてました。エンジニア最大の見せ場だったのでこれまたハラハラして見てたらしく、終わった瞬間同行のW嬢と同時に「はぁ…(安堵)」とため息をついてて苦笑です。そういや出てきた筧さんを見た瞬間に私吹きだしたらしいんですが、全然記憶にございません。ございませんったらWさん!

ラストシーンは知っていたとはいえ、やっぱり苦い気持ちになりますね。でもこの苦い気持ちを観客の心に残すため、忘れさせないためにこのミュージカルはあるんじゃないかと思う。
このシーンで印象に残ったのは銃声を聞いて室内に入ったエンジニアが、状況を見た瞬間にタムを抱き上げて背中を向けるところ。それまでずっとヘラヘラしてたエンジニアの表情の変化と、何が起こったのか理解してないタムがエンジニアに抱かれながらうにゃうにゃと手を動かしてるのがものすごくリアルで悲しくて、その横のキムとクリスが余計に切なく見えた。

わざわざ彼が来たことをわかって自殺した理由の中には「彼の腕で死ぬことによって、永遠に彼の記憶に残りたい」っていう部分もちょっとあったんじゃないかと思う。(パンフの座談会でもそんな話しが出てましたね)恐らくこれによってクリスはもう一つ重い十字架を背負うことになってしまうんだろうけど、やっぱり自分のしたことの結果だから仕方がないとしか言いようがないんだろうな、これは。

さて、通しで見た感想は「普段見る芝居の3倍疲れた…」。ストーリーが重いからとか結末が切ないからではなく、単純に<b>「子どもの初舞台を見守る親の気持ち」</b>だったからです。(失礼ですみません…)終わった瞬間全身から力が抜けて、自分がもんの凄く緊張して見てたのに気づきました(笑)
緊張してたのは筧さんも同じだったみたいで、とりあえず初日が終わったカーテンコールの表情が、他の芝居の千秋楽のような安堵感に満ちた笑顔で思わず笑っちゃいました。最初の2回くらいは座長らしくちゃんとステージを仕切っていたのですが、それ以降ははしゃぎっぱなしです。おーい、安心するのにはまだまだ早いぞ~(笑)
プレビューのせいか、まずはエンジニアをお手本通り演じてた感じがしました。筧さんのヘラヘラした表情が一転して鋭くなるとか、あの独特のメリハリ感はまだ薄かった気がします。これから慣れるに従ってどんどん濃ゆいエンジニアになっていくと思うので益々期待。一回スイッチ入っちゃうとある日突然大変身するからな、筧さん…。(飛龍伝のレポ参照。あちこちのレポから推測するに開幕4日目位でスイッチが入ったらしい)その瞬間を見逃すととても悔しいので、金とヒマが許すなら全公演見たいくらいです(オタのたわ言なので軽く流して下さい)
歌に関してはまあ、ゼロからレッスン始めたであろうことを考えれば頑張ったなとは思います。でもそんなことはお客さんには関係ないわけで。歌えてあたりまえですから、はい。ただねー、高音てレッスンすれば出るようになるけど、低音は生まれ持ったキーが激しく影響するから難しいかもしれないなぁ。男性であのキーが出ないってのは結構致命的かもしれない。筧さんのことだから根性でなんとかしちゃうかもしれないけど。「ああ、音程外しっぱなしだな」と気づかせない誤魔化し方を開発するか、歌のマイナスを差し引いてもブラボーと思える何かを見せつけてほしいです。(そんでいつかがんばってルキーニとジャベールをやってほしい。ちびっこだけど鋭い猟犬ジャベ。似合うと思うんですが)
どーでもいいけど筧さんの歌声って若いころの市村さんに似てません?CDのエンジニアにすごく近いなぁと思ったんですが。影響されてるのかな?

とりあえず初回に限っては筧さん中心に見てしまったので、ストーリー全体に関しては次回以降にじっくりと見たいと思います…。2度目はきっともう少し落ち着いて見られるでしょう。(多分)

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