吉例顔見世大歌舞伎(昼の部)2005年11月06日 11:00

@歌舞伎座

出がけにふー助さんが膝に鎮座。あまりに気持ちよさそうでつい動かせず、予定電車の2本後になってしまった(バカです)。間に合ったからいいんですが。朝ご飯代わりに「目出たい焼き」を買って、座席であぐあぐ。美味しかったです。

・息子
非常に現代劇っぽい演目。演劇のエチュードなんかでありそうだなー…と思って筋書き見たら、海外のお芝居を翻訳したものなのだそうです。なるほど。
染ちゃんの金太郎と歌六さんの老人(実は父親)の微妙な探り合いと思いやりが切なかったり。意味ありげに出てきた信二郎さんが案の定捕吏だったのはやっぱりなと。歌舞伎にはこういうのもあるんだー、と感心してしまった。

・熊谷陣屋
雀右衛門さんの相模の足取りがものすごくふらふらしていたのが演技なのか素なのか気になった。先月腰で休演してらっしゃるのでとても心配。個人的には左團次さんの弥陀六が良かったので満足。仁左衛門さんは立て札使って相模と藤の方を止める所と、敦盛討伐の様子を切々と語るところが迫力でした。個人的には「出家するくらいなら最初からすんな!」「出家するより前に嫁慰めてやれ!ショックなのは母の方だろう!」と思ったのですが、突っ込んじゃいかんのだろうなぁ。そうそう、最後に幕前に出てきた三味線の方が、台に片足乗せて弾いてるのが良かった。

・雨の五郎
吉右衛門さんですね。傘と衣裳が格好良かったです。踊りは私は詳しくないので良くわかりませんが、なんとなくぎこちなかったような…高下駄のせいなのか、29年ぶりのせいなのか。周りの若衆の殺陣やとんぼが決まってて格好良かったです。

・うかれ坊主
富十郎さんのとぼけた表情とコミカルな踊りがとても楽しかった。女性になったり虚無僧になったり、色々な役を次々にこなしていくのが退屈せずに良かったです。

ここの幕間でF嬢からメール。訃報を聞く(というか確認された)。慌てて携帯であちこちアクセスしたところ、本当らしい。同行してたW嬢共々言葉をなくす。とにかく残念。ご冥福を祈ります。

・人情噺文七元結
良かった!真面目なイメージの幸四郎さんなんですが、魚屋宗五郎も面白かったし、こういうちょっとダメな頑固オヤジが意外に合うのかも…と思いました。染ちゃんもヘタレな二枚目やらせたら天下一品だなと。身投げを止められて、身の上を語り、突然間違った方向に逆切れして素で「ええいいんですよ。あたしが死ねば丸く収まるんです」と真顔で立ち上がって川に飛び込もうとする辺りで爆笑してしまいました。場内も笑いっぱなしで盛り上がってたと思います。長兵衛(幸四郎さん)の嫁のお駒(秀太郎さん)のかかあ天下っぷりがまた素敵。結婚話と知った途端に目が光るやりてジジイ甚八(幸右衛門)の強引な場のまとめっぷりも好きだ。いつのまにか仲人やることになってるし(笑) 誰も悪人がいなくて、置屋の女将さんも主役も、両親も娘も、誰も彼もが皆善人。最後は大団円で拍手。気持ちよく終わってすっきり爽快でした。

外に出たら雨模様。涙雨なのか恵みの雨なのか。ちょっと切ない気持ちになりながら、もう一本お芝居を観に銀座小劇場へ向かいました。

劇団カントカークト第三回公演「雨物語り」(千秋楽)2005年11月06日 17:00

@銀座小劇場

素直に感動できる良いお芝居でした。幽霊になって息子を見守る父、罪の意識で未来を描けない息子、口にできない過去のせいで息子に本心が言えないもう一人の父、父を求めるが故に反抗して道を外し掛けているもう一人の息子。ありがちといえばありがちなのかもしれませんが、前回公演よりもストーリーはしっかりとしているし、何よりも演じる側の意気込みや思い入れがガンガン伝わってきました。

そしてやっぱり私は座長(辻本)さんが好きです(笑)
今回はオールバックにスーツに髭で「もう一人の父」の役だったのですが、やはり座組の中でずば抜けてるなと。ラストの長台詞のとうとうとした言い方が非常に好き。楽日だったので最後にご挨拶があったのですが、その時の晴れ晴れとした表情も素敵でございました。この方が出てる芝居ならまた見たいです。

そのほかには宮根耕平さん。前回公演時よりも格段に表情や演技が伝わってきました。独特の雰囲気と笑顔が良かったです。
核田裕史さんもお上手な役者さんだなと。エプロンが似合っていて微笑ましい(笑)

小鈴さんは今回も色物でしたが、ストーリーに絡んでて良かったですね、と。お一人だけ発声が別世界。怪しいまじないだか読経だかの朗々とした声が素晴らしくてなんだかもう笑うやらなんやら。刑事→神だか天使だかへの転身はあの場でコート脱いだ方が良かった気がしないでもない。幸介が部屋を飛び出した時に「行かせてやれ!」は「お前が言うな!」と客席全員が突っ込んでいたことでしょう…。

舞台セットが良く考えられていて感心。下手の仕掛けはわかったんですが、床にはびっくり。私はてっきり引き込む→引っ張るを繰り返してるんだと思ってました。あとあの真ん中の箪笥。成仏話云々が出てきた辺りで「あそこから昇天かなぁ…」と思っていたら思った通りの演出で昇天されてしまって微苦笑。小鈴さんが一人大きいのでドアくぐったり箪笥に入ったりするとき大変そうでした。

すごく泣ける芝居だったと思うんですが、泣けなかったのは一番の泣かせ処のラストシーンで登場人物が一斉に号泣したから引いたのかもしれません。特に巽親子。息子はまあどうしても号泣だろうから、だったら父にはぐっと堪えてほしかったなぁ。涙を堪える姿に観客は涙するって、あると思うのです。大人の男は心で泣いて息子への包容力を見せるのだ(笑)
だから逆に雨森親子の方は父が顔くしゃくしゃに泣いてて、息子は泣きながらも笑顔を作る辺りはちょっとぐっときました。全員に嗚咽漏らしながら泣かれてしまうと、やっぱり「うーん」だなと(すいません)。
あと細かい突っ込みとしては「毒薬窓から棄てるなー!つーかあの雨のなか窓あけっぱでその修羅場してたんですかあなたたち!」……重箱隅ですいません。
もう一つ。ハイテンションキャラは2人もいりません…ちょっとうるさかっ(以下略)。でもハイテンションキャラってさじ加減がものすごーく難しいんだなと思いました。前回の小鈴&核田コンビのハイテンションはウザくなかったもんなぁ。

でもこの劇団は方向性的にすごく好きです。次回6月だそうなので、また見たいなぁと思います。でも中野は遠いです…。いや、多分行くけど。

SHINKANSEN☆secret project live 内野聖陽 with METAL MACBETH GROUP2005年11月08日 19:00

@恵比寿LIQUIDROOM

ライブハウスは久々~ということで、気合いを入れて行ってきました。
整理番号が140番台だったので、なんとか後方に椅子とカウンター確保。これでビールも気にせず飲める!
物販で売ってたTシャツがすごく可愛くて欲しかったんだけど、4000円出す気にはならなかったなぁ。来年本番舞台で似たようなデザインでもう少し量産してくれて、単価が落ちたら買ってみよう。

で、本番。
メタルマクベスの曲が3~4曲、歌謡曲3~4曲、ミュージカルから5曲くらいかな?スタンダードなロックの曲を2曲くらいやるかなーと思ってたので拍子抜け。前半にメタル集中→後半ミュージカル曲だったので、そこら辺でテンションが下がってしまって後半はのんびり見てました。メタルマクベスの曲を前後に分けても良かったんじゃないかなぁと、終演後にH嬢・W嬢と語る。

印象的だった曲。
・「氷の世界」
その昔TOSHIと坂崎さんが歌ってたり、筋肉少女帯だったり。懐かしいなと。
・「ロックンロール・ウィドウ」
以前宇崎さんが歌ってるのを聞いたことがあるのですが、やっぱり格好いいなと。古さを感じないですよね。
・「ゲッセマネ」
あー、基本ラインはこの歌い方だよね、この曲と。前からB'zの稲葉っちに歌ってほしいと思ってたんですが、益々聞きたくなりました。でも稲葉ジーザス(松本ユダか!?)のJCSじゃ間違いなく会場横浜アリーナとかだろうなぁ…(笑)
・「キッチュ」
ドイツ語詞だったので、無理なく曲がロックになってていい感じ。これがいい感じだったので、後の「最後のダンス」と「闇が広がる」が果てしなく歌詞がリズムに乗ってなくてちょっとがっかりしてしまった。英語かドイツ語で歌えば良かったのにー(無茶言うな)。

内野氏は微笑ましかったです。「あー、まだ照れがあるのかな?」「そうだね、これからロックの動きになっていこうね」「最後決める時は音引っ張ってる間ずっと動いてなくてもいいんだよ」みたいな。ライブ慣れしてないのがありありと伝わってきて、苦笑すること多々。だって動きが面白すぎ。応援団か体操してるみたいなんだもの。何回か吹き出してしまった(笑)後はロックにはロックの歌唱法があるから、来年春まで頑張ってくださいと。

司さんはお元気そうで安心いたしました。メタルマクベスの新曲も良かったです。何よりご本人が楽しそうだったのが嬉しい。実はクドカンの詞がいまいち好きじゃない感じなので(クドカン脚本も得意じゃない…)ちょっと不安だったりしますが、やっぱり楽しみです。

ゲストの冠氏がシャウトしまくってました。好き系な声だけど、ファントム歌うということで期待しすぎたかも。人見元基さんとかで聞きたかったなー…とか思ってしまった(ゲッセマネも同じく)。というか、そもそも一緒に歌ってる「ファントム」のうっちーが声出てなかったり…。
正直なところロック好きな自分と、新感線好きな自分と、内野さん好きな自分と、ミュージカル好きな自分が上手く融合してくれず、それぞれのテリトリーでそれぞれの自分がちょっとづつ乗り切れない所があって不完全燃焼でした。楽しかったですけどね。

とりあえず久々に色々CD引っ張り出して聞こうかなーと。
来年のメタルマクベスに期待してます。

東宝ミュージカル「マイ・フェア・レディ」(450回)2005年11月12日 17:00

@帝国劇場

初マイフェアで、初真央さんでした。
なんというか、悪人が誰もいなくて、素直に楽しめて、最後までハッピーなミュージカルでいいなぁと。真央さんのお衣裳がうっすらと記憶にあるヘップバーンの映画とかなり近いようでそれもまた観劇。「運がよけりゃ」がこのミュージカルの曲だったことを改めて思い出しました。

出演者はみなさん楽しそうで、見てるこっちも楽しくなりました。
石井さんのヒギンズ教授がかなりツボ。いい感じな頑固っぷり、偏屈っぷりとだだっ子のような雰囲気が混ざり合ってナイスキャラクター。イライザに去られて、頭真っ白になった瞬間に出る言葉が「おかーさーん!?」なとこもグーです。暑苦しい役もいいですが、こういう役も合ってますね。あ、でも見た目ダンディなのに中身は熱血教師の金八先生だった気がしないでも…やっぱり熱い男なことに変わりはないのか(笑)

浦井くんのぼっちゃんぼっちゃんして、あのまま結婚してたら一生イライザに翻弄されたであろう(でも翻弄されてることすら気づかずに終わったであろう)フレディも可愛らしくて良かった。彼の素直な歌い方と声質がとても好きです。

そして上條さんの「おとっつぁん」が本当に素敵。彼を中心とした町の人々や酔っぱらいの合唱曲はみんな好きだ。

終演後は真央さん主演450回達成記念の特別カテコ。
治パパの司会でケーキが出たり、花束贈呈したり、看板が下りてきたり。15年間サイズが変わらない真央さんてすげー!とか。
春風ひとみさんがヅカ出身なのは知ってましたが、月組出身で真央さん現役時代に組子だったとは知りませんでした。
「真央さんの退団公演の時に大階段の下で彼女をお迎えし、今回またこういうかたちで階段の下(セットに螺旋階段があります)でお迎えできることが本当に嬉しい」と涙ぐまれたコメントに、こちらも涙。それに続いた浦井くんももらい泣き(笑)
宝塚の組子関係って私には想像つかない強いつながりがあると思うので、言葉にできない感情があったろうなと。特に6期違いくらいで、相手がトップさんだったら本当に「憧れの先輩」だもんなぁ。大スターなわけだし。逆に大先輩の月丘さんのコメントは、真央さんが神妙な表情でかみしめるように聞いている姿が印象的でした。関係ないですが月丘さんて春日野八千代さんの相手役だったのか!すごい!

そんなこんなで楽しかった3時間半。こんなハッピーなミュージカルならもう一度みたいな、と思いました。

宝塚雪組全国ツアー「銀の狼」/「ワンダーランド」(ソワレ)2005年11月13日 18:30

@市川市文化会館

駅で売ってたカボチャパンがあまりに美味しそうだったので、購入して会場へ。
着いたらすごいさばき待ち人数でびっくり!今回の公演は人気あるんだなーと思いつつ場内へ。

とりあえず、芝居・ショー通して

「キムはよくがんばった!」

というのが一番の感想かなー。

●銀の狼(初演のビデオは敢えて未見)
・幕開けのダンスと歌が怖かった
・まーちゃん@ミレイユ(舞風りら)はまり役!とにかく素敵でした。声が落ち着いているせいか、大人の女が似合います
・シルバ@コム(朝海ひかる)は銀髪時と茶髪時で雰囲気を変えててすごいなと。そしてこちらもはまり役
・衣裳の袖がたゆたゆしてるのはやはりヅカのお約束なのだろうか
・霧のミラノに続いてダメな大人役のハマコさん(未来優希)。お上手だったし、憐れっぽい雰囲気出てて良かったんですが、そろそろ格好いい男のハマコさん見たいです…
・でもハマコ素敵だよ。ハマコ上手いよ。雪組の魂だ、いつまでも居てくれ
・ジャンルイのキム(音月桂)。君はほんっと頑張った。悪だけど悪に染まりきってない、どこかいきがってる感じがとても良かったと思います。完全な悪だったら多分最後で破綻してない気がする
・ミズ(水夏希)のレイは、最後のマント姿で「おおお!」と。あとシルバと二人で酔いどれる辺りがとても好き。そしてこの人の台詞声がとても好きなことに気づきました
・刑事かなめ(凰稀かなめ)&女性記者あみたん(愛耀子)はいいバランスだったと思います。かなめの「なぜ医者が殺し屋にー!」の辺りは石井ヒギンズの「おかーさーん!?」を彷彿とさせるグーさでした
・でももうちょい気合い入れてキザるシーンがんばれ。他人が恥ずかしくなるくらいキザるのはヅカの基本だと思う
・シルバ・レイ・ジャンルイの関係と、シルバ・ミレイユ・ジャンルイの関係が良く見えたので、色々バランス良かったなーと
・シルバはミレイユに惚れたわけじゃない。シルバとミレイユは「私たちは鏡同士~♪」と解釈致しました
・だからラストシーンのどちらにも依存せず、ただ存在し合っている感じの二人はとてもかっこよかったと思う
・で、文庫版見たらあまりの甘々に驚いた。舞台版脚本のがいいね

●ワンダーランド
・ハマコさん気合い入りすぎです
・まーちゃんの「♪ヘイヘイヘイ~ワンダーラァン」が色っぽくてやはり好き
・水さん、そんなに気合い入れなくても…
・白鯨のシーンが客席登場。妙にひらひらした鯨の尾が臨場感を醸し出して…たと思う、多分
・海のセイレーン、美穂姉さん(美穂圭子)がいないから心配してましたが、いい感じで安心安心
・カウボーイのかなめ、がんばってたけどまだ照れがないかい?そしてかしちゃん(貴城けい)のキラキラ感は偉大だと思った。デコが光ってるだけの理由でなく
・しかし、かなめのとんでもない足の長さには驚いた。でも歌死ぬほどがんばれ
・カウガールの二人が可愛かった。愛原実花ちゃんはこのまま路線ですかね?
・デュエットダンスでまーちゃん撃つのはいづるん(天勢いづる)に変わりかおりちゃん(晴華みどり)。最後走り寄るところでドレスの裾踏んで、つんのめってました。可愛いからがんばれ…
・アラビア王子はかしちゃんの専売特許なんだなぁと改めて。キムがんばってましたが、あまりにも出てきた瞬間オカマに見えたせしる(大湖せしる)がなんだかちょっと気の毒に…つーかせしるの方がデカ…
・でも王子前のトレンチコートは頑張ってたと思います
・クラシックメドレーのハマコの「白鳥の湖」はいつまでも回って困ります
・水の「威風堂々」が堂々としてて安心
・「栄光」の「♪グロ~リグロ~リィハレルゥゥゥィヤァ~」のハマコさんに過剰な拍手をしてしまった。客席を貫く声量に乾杯
・「♪まだまだ続くよー」のキムのやりすぎなくらいのキザりっぷりに大喜びしてしまった。見習えかなめ、あれが男役だ(でも好きだよかなめ)。雪組若手5人衆の一本釣り大会。客席降り万歳
・ガイズのまーちゃんが素晴らしい!男衆に一人女子で華奢なのに、バシバシ踊っててかっこいいー!基本寄り添い系なのに一人でも立てるのがまーちゃんの素晴らしさだと思う
・最後の方でハマコさんがオラオラ言い過ぎです。大好きだよ(笑)
・相変わらずフィーナーレ早すぎてびっくりです
・ご当地ジェンヌ紹介はもちろん水さん。「千葉の星」言われてました

そんな感じでしょうか。芝居もショーも客席降りが多く、後ろから2番目でも1階席で良かったと心から思ってしまいました。2階の人は辛かったろうなぁ。
というわけで、結論としてはやっぱり雪組好きだなと。次はベルばらかぁ…はぁ。